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新潟市医師会報より

新潟市医師会

松ちゃんありがとう

新潟市医師会 副会長 岡田 潔

「松ちゃん」というのは、2023年7月まで、新潟県福祉保健部長をされていた松本晴樹先生のことです。失礼を顧みずに「松ちゃん」と書いたのは、素顔の彼のことを伝えたいと思ったからです。なので、彼のオフィシャルな部分はここでは省きます。

彼は宮城県出身で、仙台一高時代に精神科医になろうと思いたち、千葉大学医学部に入学。卒業後の2006年から初期研修を石巻赤十字病院で終了、湘南鎌倉総合病院に移り後期研修をしましたが、2009年に厚労省に入省して、点数改定に大きく携わりました。例えば、2014年に胃ろう増設術の点数改訂を担当して、当時フィーバーだった胃ろうに強い政策誘導を行っています。それから胃ろうがすっかり下火になったことは、私たちが在宅医療や介護保険の現場で実感していることです。その頃を振り返ってこう言っています。「診療報酬改定に夢中になりすぎて準備も全然できない中、3ヶ月間英語の予備校で死ぬ気で勉強しました」。そして最難関のハーバードに合格、2016年からハーバード大学院に2年間留学しました。本人は、「ミーハーだからハーバードにした」とも言ってました。彼はそれまで厚労省で結構チャレンジしてきたと思って留学したのですが、そこで学ぶ人達に比べると「普通の人」でした。ハーバードでは「自分が世界を変えられる」とみんなが本気で信じていたので、自分も頑張ろうと、気分を一新して帰国しました。ちなみに彼は、柏崎市など4市が2022年度から開設した初期研修の間にハーバード等で学位を取れるプログラムを作りました。

2020年4月から新潟県福祉保健部長として、彼が赴任しました。それとほぼ同時に、新型コロナウイルス感染症の第1波が発生しました。赴任直後のゴールデンウィークの直前に、彼が新潟市医師会にやって来ました。「新潟市内のホテルを借り切ってコロナ宿泊療養施設を作りたいので、新潟市医師会に担当医をお願いしたい」と、単刀直入に言われました。その時が、彼との初対面でした。それから3年と2ヶ月、新型コロナウイルス感染症は5類へと移行しましたが、新潟県のコロナ死亡率が全国最下位だったのは素晴らしいことです。新潟県が日本一になれたのはオール新潟で乗り切ったからだといわれていますし、そう思いたいです。しかし、私も含めてコロナ対応のど真ん中にいた人間としては、当初は足並みも揃わず、とてもオール新潟だったとは言えません。当時はワクチンも治療法もない、未知の感染症でした。それに加えてネットでの情報過多、拡散や有名芸能人の死亡などで、医療現場だけではなく、社会全体が大きな混乱をきたしていました。今になり振り返ってみると、新潟県のコロナ対応の大成功は、トップ数人の強いリーダーシップが最大のポイントだったと考えています。そのトップの一人が松本先生です。例えば、2021年に新潟県内の新型コロナウイルスワクチン1、2回目接種が出遅れた時、新潟県医療調整本部×アルビレックス新潟でタッグを組んで、ビッグスワンでのアルビの試合開始前に大規模接種を強行しました。このイベントでは、65歳以上のかたは予約不要で当日接種、何とスポンサーからは「柿の種」がプレゼントされました。併行して朱鷺メッセなど、県内7ヶ所の大規模会場だけで1日1万人超に接種した日もありました。3回目接種では、新潟空港の国際線チェックインカウンターを大規模会場にしました。なりふり構わない大規模接種を次々と企画して、新潟県の3回目接種率が一時は全国首位になるなど、効果は抜群でした。もちろん松本先生一人だけの力とはいいませんが、彼のインパクトファクターはギガレベルでした。
コロナ対応と併行して彼が全力投球したのは、臨床研修医の増加に向けた取り組みです。2019年度は新潟県の地域枠採用は2大学14名でしたが、毎年拡大を続けて、2024年度地域枠は12大学77名になります。本人から聞いたのですが、彼はなんとか学長など幹部とアポを取り、首都圏の私立医大のトップに直談判したそうです。驚いたのは、彼自身が地域枠学生の悩みごと、例えば、きちんと単位が取れているか、進級に支障がないか、などの相談を聞いていることです。また県外出身の学生が多いので、慣れない土地の一人暮らしや生活費の確保などの話を、一人ずつ時間を設けて、場合によっては彼の自宅へ学生を呼んで、丁寧に聞いてあげていたことです。本当の愛情がなければ、なかなかできないことです。さらに、イノベーター育成臨床研修コースや海外留学支援制度などの創設と、彼自身のTwitterへの想像以上の反響もあり、2023年度には新潟県の臨床研修医は過去最多の147人となりました。
そして彼は任期最後の4ヶ月で新潟県の地域医療構想を劇的に変化させました。その際にも数字は出さずに、つまり予算や採算の話はしないで、現場の医師をリスペクトすることから始めました。地域医療構想のような様々な思惑が入り組んだ取り組みは、時間をかけてないと前進することができないどころか、意見の衝突により決裂や分断を招きます。そのために当事者の先生がたと話し合って、危機感を共有することを最優先させたと言ってました。「一般的には、再編や改革など新しいことを始めようとすると、必ず反対する人がいます。必ず壁にぶつかるんです。反対する人と向き合って挑戦することに尻込みする人も多いのですが、困難を乗り越えなければ、人も資源も集まってきません」これは彼のインタビューからの抜粋ですが、なかなかできないことです。

コロナ対策をやるために送りこまれてきたわけではない。たまたまコロナ禍が発生しただけ。新型コロナウイルス感染症のど真ん中に飛び込んできて、仕事の大半がコロナ対応。でも新潟県を全国一に仕上げた。

同時進行で新潟県の研修医数を過去最高のレベルまで引き上げた。

そして最後に新潟県の地域医療構想を激変させた。

彼の口癖は「男前ですね(例え女性でも)!」。そして、「風貌や表情はとても大切で、物事はそれで決まる」と言います。「ビジョンが明確なら細かいことは言わない」と、私も言われました。それと、彼は凄くおしゃれです。独特のヘアスタイルと髭、メガネ、夏でもベスト、とに角目立つ、それはポリシーなのでしょう。

「お役人は予算を持ってるが、変化することを好まないので、一旦持ち帰る」というイメージを覆しました。彼は、そもそも予算の話は後回し、いいと思えば即決です。一番嬉しかったのは、決定すると、あとは彼自身が動いてくれたことです。それが「松ちゃん」のストラテジーだったと実感しました。

マストアイテムはお酒です。お酒は強いだけではなく、精通しています。「松ちゃん」はLINEのアイコンまでお酒なのです。なので、男女を問わず、やたらと友だちが多いです。桁違いの交際範囲の振れ幅が、彼の鮮やかな功績に、大きな貢献をしたのだと思います。

ありがとう!

(令和5年10月号)

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