浦野 正美
年頭にあたり、ご挨拶を申し上げます。会長職2期目の任期も残り半年弱になりました。新型コロナウイルス感染症(新型コロナ)は昨年の5月8日に5類に移行した後も、感染は消長を繰り返しながら続いており、またコロナ流行期には見られなかった季節外れのインフルエンザや他のウイルス・細菌感染症も見られるようになってきています。現在、新型コロナへの対応を医師会報に記録として残すために関係者で記録集を執筆・編集中です。詳細なデータは広報ウェブサイトにも収載して、100年に一度の発生が予想される今後のパンデミック対策にも役立てようと考えております。
また令和6年度から始まる第8次医療計画においては、従来の5疾病5事業に新興感染症等の感染拡大時における医療が6事業目として追加されました。新潟県では国の指示に従って、これまでの新型コロナへのオール新潟での対応経験を生かして、事業計画を作成中です。
この4年余りの新型コロナとの戦いの経験から、医療DX(デジタルトランスフォーメーション)の推進、多職種連携のさらなる強化などの課題が明瞭化しました。
医療DXに関しては国が様々な政策を出してきていますが、それをただ受け入れるのでなく、現場感覚で検証して、臨床で使いやすいものになるように提案していくことも必要と思います。
本年4月からの医師の働き方改革に対応した救急医療体制の見直しや、病院の機能分担を考慮した地域医療構想調整推進も始めております。救急医療のICT化については、新潟市急患診療センターの電子カルテ導入について、来年度に確実に実行できるように準備中です。
医療資源の乏しい新潟地域においては多くの英知を結集して、限られた予算と人員の中で、選択と集中、集約化と効率化、費用対効果のある医療政策が求められております。今回の経験の教訓として、今後とも新興感染症対応を含めた持続性のある地域医療構想を推進していくことが重要と考えております。
昨年から新潟大学医学部の学生教育への協力を強化しており、医学部1年生の早期体験実習への参加協力医療機関数と実習期間を増やしました。今後はさらなる高学年の地域枠以外の一般学生への地域実習協力も検討して、新潟大学の医学生が卒業後も地元に研修医・専攻医として残っていただくように務めたいと思います。
令和4年7月に発足した新潟次世代医療科学研究協議会N[EXT]A(ネクスタ)ですが、昨年はかかりつけ医機能についてのシンポジウムを開催し、本年は新潟市と十日町市中魚沼郡医師会のご協力をいただき、2地区での認知症に対する多職種連携機能についてフィールド調査を行いました。今後も医師会活動を補完する形で、新潟地域に密着した、幅広い研究と課題解決に取り組んでいく所存です。
当会は各班の会員の皆様の活動が基本となっておりますが、時代の変化と共に班構成なども変わってきています。会員の先生方とよく相談して現状に即した班体制の再編、班長の先生方にお願いしている各種業務の見直しも行う予定です。
本年もアフターコロナに向けて様々な事業展開をしていきますが、このような活動を通じて会員の皆様にとって、より使いやすく、より親しみのある医師会にしていきたいと考えております。引き続きご指導とご協力をよろしくお願い申し上げます。
(令和6年1月号)