新潟大学大学院医歯学総合研究科 地域医療人材育成分野 医学部総合診療学講座 教授
上村 顕也
このたび、2023年11月1日付で、新潟大学大学院医歯学総合研究科 地域医療確保地域医療課題解決支援講座の地域医療人材育成分野教授を拝命し、医学部総合診療学講座を担当することとなりました。本紙面をお借りしまして、新潟市医師会会員の先生方にご挨拶を申し上げます。
私は2020年12月から染矢前医学部長のご指導のもと、新潟大学医学部が採択された厚生労働省による事業である『オール新潟体制での総合診療医育成コース【新潟方式】』を運営する機会をいただきました。医学部医学科に総合診療学講座を設置いただき、新潟から総合的な診療能力を有する医師(総合診療医)を養成することを目標としています。
ここでいう総合診療医は、「総合診療を専門とする医師」と「臓器別専門医でも十分な総合診療能力をもって診療できる医師」と考え、その育成により、新潟の医療の質を確保し、向上させることを目標としています。これまでに、全身を診て、患者さんの生活・背景などを広い視点で捉えて総合的に診療する能力を習得するための総合診療の診療参加型実習を開始し、学生と指導医がコミュニケーションをとって実習を構築しています。
また、独自のオンデマンド教材を開発し医学的なテクニカルスキルを自分のペースで学ぶ環境を整えるとともに、医療で大切なヒューマンスキルを学ぶオンラインセミナーなどを開催し、卒前・卒後・リカレント教育を行って、医療人材育成に取り組んできました。
これらの取り組みの結果、【みっつのみかた】:『診方(みかた)』(診察の視点)、『見方(みかた)』(地域を守る視点)、『味方(みかた)』(患者さんに寄り添う視点)を大事にする総合診療医が新潟で養成され、さらに多くの仲間が全国から集まることを目指しております。
今後は、育成する医療人材が地域の皆様とともに課題解決を進める環境を整備し、継続性・循環性のある人材育成のアウトカムに結び付けたいと考えています。その一つの取組が、新潟大学共創イノベーションプロジェクトの一つである「地域医療DXイノベーションプログラム」です。メンバーに加えていただいている本プロジェクトでは、新潟県においてデジタル技術などを活用した未来型の地域医療を構築し、誰もが何処でも安心して暮らせる『健康未来社会』に資する次世代ヘルスケア基盤の構築を目指しています。このプロジェクトを進め、様々な職種の方々と地域医療や未来社会を共創するチャレンジをしていきたいと思います。
これらの事業の推進にあたっては、新潟市医師会長の浦野先生に温かいご助言をいただき、学生実習では多くの新潟市医師会員の先生方にご指導をいただいております。心より感謝申し上げます。また、私は新潟で医師として様々な経験を積む過程で、新潟市医師会の多くの先生方にご指導いただいております。新潟の医療の質確保と向上のため、人材育成と課題解決に一層努力いたしますので、会員の先生方には今後ともご指導、ご鞭撻を賜りますよう、何卒よろしくお願い申し上げます。
(令和6年6月号)