新潟市医師会 副会長
山本 泰明
新潟市医師会は、岡田新会長のご就任からおよそ10ケ月が経ちました。これまでの医師会業務を維持継続しつつ、効率化のため業務仕分をし、直面する様々な課題解決に努力しております。
喫緊の課題のひとつは、令和6年4月の「医師の働き方改革」実施を受けて、超勤時間の厳密な管理に伴う課題の洗い出し、対策の検討です。
また「令和6年度診療報酬改定」は0.88%と非常に低く設定され、物価の高騰や職員の賃金改善が求められる中、新潟県内の多くの病院は大幅な赤字経営となり、地域医療崩壊の危機に瀕しています。補助金での迅速な対応が求められる中、厚生連への19億円支援にとどまらず、2026年度診療報酬改定前に、期中改定実施要求も視野に入れなくてはなりません。
新潟市内の救急医療も逼迫しています。一次救急は急患診療センター頼りで、市外からの救急搬送も多く、内科、小児科の2次輪番制(病院における夜間、休日の救急当番制度)での受け入れ態勢が困難です。病院の役割分担と医療資源の適正配置を調整する医療再編のタイムリミットは近づいており、高齢者人口がピークを迎える2040年を見据え、地域医療構想の推進は必須です。
一方、年末年始の急患診療センターは、元日と2日の受診者が700人超となり、最長7時間待ちでした。プロジェクトチームを作り、この状態を改善する事も急務です。
医療DXでの業務効率化には期待が高まります。急患診療センターの電子カルテ導入は、令和7年度には運用開始の見込みで、情報管理が効率化され診療の質も向上します。「ICT救急体制」が始まり、救急隊が「メモと電話」から「タブレット端末とインターネット活用」のICT体制にシフト。遠隔医療、電子処方箋の利用、さらにはAIを活用した診断支援システムなども、今後の導入が見込まれます。
医師偏在対策としては、新潟大学医学部卒業生の県内勤務者数増加のため、十分な研修体制作りが求められます。医学教育学の岡崎史子教授との連携で、医学部生の早期医学体験実習EME実施、地域医療視察、介護現場視察などから、新潟の医療現場への関心向上活動を進めています。
医師の高齢化と後継者不足が深刻な、警察医・学校医・産業医の確保に関しては、アンケートの実施と分析、研修会の開催や報酬アップの検討など模索しており、引き続き多くの先生方のご協力を切に求めています。
医師会収益の大黒柱の急患診療センターですが、診療報酬はコロナによる受診者数減少以降、減収のままです。メジカルセンター事業は縮小、検診事業、予防接種事業も減収と、医師会の年度収支は厳しい状況で、業務仕分と経費の見直し、長期事業計画の立て直しが必要です。
浦野前会長による医師会業務の効率化は前進し続けています。理事の若返りも図られ、6人の新理事は50歳になったばかりです。会員数増加のため、医師会に入って良かったと感じてもらえるよう、日常診療に役立つ情報提供や福利厚生の充実に努めています。そうした中で、ワイン部とジャズ部が新規に活動を始めました。
今後も、新潟市民の安全、安心な健康生活を支える、未来を見据えた医師会の取り組みの推進に尽力してまいります。岡田会長のリーダーシップにご期待ください。副会長として支えて参ります。会員の皆様には引き続き医師会活動にご協力賜りますよう、どうぞよろしくお願い申し上げます。