医療法人美郷会 西蒲中央病院 病院長
太田 宏信
令和7年4月1日より前任の鰐淵勉先生の後任として病院長に就任しました。理事長の江部和人先生のお誘いで当院に就職しましたが、当院での勤務経験は全くありません。大変温かく迎えていただきましたが、恐らく職員全員が内心「この人が病院長で大丈夫だろうか?」という思いだったと想像しています。
【西蒲中央病院】
西蒲中央病院は平成13年(2001年)に開院しました。「地域の高齢者の入院依頼を断らない病院」「受け入れ先の無い患者を受け入れる病院」と言う評判は私も以前より聞いていました。その評判は江部先生をリーダーとして、職員一丸となって努力した結果得られたものと思います。救急対応は限られますが、可能な限り治療し、療養およびリハビリテーションを行っています。当院に着任して感じたことはリハビリ部門の大きさと充実ぶりです。
【自己紹介】
私は新潟市で生まれ、昭和56年に新潟大学を卒業。消化器内科医になりました。県立吉田病院、済生会新潟第二病院(現済生会新潟病院)、村上総合病院等で勤務し、前任地の新潟白根総合病院には10年間勤めました。内科一般、消化器内科一般を診ていましたが、内視鏡治療やカテーテル治療(IVR)を積極的に行っていました。
【地域医療構想の中での当院の立場】
西蒲中央病院は地域の病院として、また急性期病院からの下り搬送受け入れの病院として断らない医療を今後も継続します。現在当院の病床数は166床で、内訳は一般48床(うち地域包括ケア病床(以下、地包)28床)療養型病床118床(うち地包28床)です。稼働率93%以上を目標とし維持しています。救急病院からの下り搬送で入院依頼があっても病床が用意できないことが多々あり、連携室は常に苦慮しています。
【高齢化社会の中での患者とその家族の思いの変化】
今まで80歳、あるいは85歳を過ぎると「高齢ですから体に負担のかかる治療は行わない方が良いですよ」とよく説明していました。しかし90歳を過ぎても元気なお年寄りが大変多くなりました。私が今年3月まで勤務していた新潟白根総合病院の外科は高齢者手術に積極的に取り組み「90歳以上超高齢者胃癌9例の手術治療成績」を論文にまとめ、大きな反響を呼びました。時代は変わりました。患者やその家族から「高齢であっても元気ですから、もっと積極的に治療をして長生きさせて欲しい」と希望されることが増えました。納得されない時はセカンドオピニオンのための他院受診や転院を考慮しなければなりません。
【私がなすべきこと】
病院によって施行できる検査や処置は限られています。当院にMRIは無く、穿刺用超音波装置もありません。院内で発生する救急疾患に対しての医療体制を整備し、なるべく他院のお力を借りず可能な限り当院で治療と療養できるようにすることが私の責務と考えています。また病院長として職員の離職原因となるカスハラ、パワハラへの対策、医療安全にも全力で取り組みます。
これからも近隣の多くの診療所や病院と密な連絡を取りながら、理想的な地域連携体制を構築していきたいと思います。何卒よろしくお願い申し上げます。
(令和7年11月号)