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新潟市医師会報より

新潟市医師会

新潟にもどり思うこと

新潟脳外科病院 院長
小林 勉

今年度4月より院長に就任した小林です。出身は新潟市、高校3年のクラスは3人に1人が医師・歯科医師といった環境にあり、浪人して東京の予備校に通っていましたが、地元に戻るなら医学部に進学しなさいと、ある意味担任の先生に洗脳される形で医学部に進学いたしました。

平成2年に新潟大学医学部卒業後、新潟大学脳研究所脳神経外科に入局。専門は悪性腫瘍の免疫療法と言いたいところですが、あまり研究に才はなく、脳外科手術の匠の世界に魅せられて、救急現場を中心に診療に携わってきました。十数年前に大学病院から関連病院である県外の救命センターに赴任し、定年まで勤め上げるつもりでいましたが、コロナが始まった年に諸事情のため地元である当院に大学の人事にて赴任することとなりました。

当院は開院当初より救急指定病院として、主に脳卒中医療を担い、現在もTPA療法や血栓回収・くも膜下出血などの急性期治療を重点に、認知症診断と最近の治療、脳卒中後の回復期リハビリテーション、脳ドック(県内唯一の日本脳ドック認定施設)、脳疾患だけでなく多臓器への低侵襲放射線治療(サイバーナイフ)を行っています。

まず新潟に戻り驚いたことは(新潟市で勤めた病院は大学病院しか知りません)救急のたらい回し?適切な言葉ではありませんが、搬入先が決まるまでの時間が必要以上に長いと感じました。人口が多い地域であればあるほど、その傾向が強いと言われていますが、以前勤めていた病院では、断った事例について検討し、そして指導するシステムがあり、まして3次救急である病院が受け入れが困難に陥る状況は市民にとって深刻であると感じていました。

私の最初の出張病院は長岡の市中病院でした。当時、現在亡くなられた脳外科部長(副院長)に、救急は絶対に断るなと強く指導され、現在の私の医者としての基軸を成しています。その当時時間外労働は120時間/月を超え馬車馬の様に働いていました。現在の働き方改革からすれば問題となる数字ではありますが、医療インフラの進歩やタスクシフト/タスクシェアにて医師の仕事はより専門的でかつより効率化しているように感じます。断らない医療は非生産的だと異論を唱える人(昨今、救急を取れば取るほど赤字が増えるデータ)もいますが、一方で、単純に精神論で、たらい回しの現状が改善するとも思えません。新潟市の救急体制はあくまで一次救急に対応しているシステムであり、その分三次救急に負担が強いられる構図となっています。新潟市民が長岡の病院や新発田の病院などに送られる現実があります。赴任してきた当初より抱いてきた懸念ですが、幸い二年前に済生会新潟病院が二次救急指定となり、新潟市民のため貢献していただけることを強く望む次第です。

それでは、このような新潟市の医療体系の中で我々はどうするべきか?現在我々の病院の医師構成はまさしく人口分布と同様高齢化している状況であり、いつでも脳外科手術を24時間体制で行える環境にはありません。それこそタスクシフトの考えと今後の国の医療体系の構想から、新潟大学および新潟市民病院脳外科との連携を強め、急な判断を要する脳疾患、主に一次二次救急は可能な限り当院で対応していこうと考えています。院長就任後も徐々に救急患者は増加し、今年度は、数人程度(大学の当直などもあり)の人員にて2500-3000台/年の救急車搬送となっています。少しでも新潟の医療に貢献できよう尽力したいと考え、同時に経営難になっている医療情勢の中、当院の黒字化を図っていきたいと考えます。

(令和7年12月号)

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