会長
岡田 潔
むかし、むかし、あるところに、自由民主党という政党がありました。自由民主党は公明党と日本維新の会との間に「三党合意」を結びました。そこには、日本維新の会の「国民医療費の総額を年間最低限4兆円削減する」という主張が含まれていました。
日本維新の会は、社会保険料を下げる改革プランとしていくつかの具体的な施策を提案していました。
・OTC類似薬の保険適用除外。
・医療法改正に11万床削減を書き込む。
・高齢者の医療費窓口負担を1割から原則3割とする。
2024年度、全国の病院の約7割が赤字となり、病院経営が危機的な状況になっていることがわかりました。最大の原因は、近年の大幅な物価・賃金上昇による医療機関の経営悪化と人材流出です。
さらに良くないことは、2025年11月5日の財政制度等審議会で、診療所が病院に比べて高い利益率を維持していると曲解され、診療所の報酬の適正化が必要と結論付けられました。
しかし、医療・介護・福祉の業界には922万人の職員がいて、後ろにいる家族を含めれば約2000万人がこの世界にはいます。
4兆円の根拠はわかりませんが、4兆円の価値ってどれくらいなのでしょうか?例えば高市首相が推進する、食料品の軽減税率(8%)を0%に引き下げた場合、財務省幹部によると国と地方を合わせて約5兆円の税収が減ると試算されています。
皮肉なことに消費税の税収は社会保障費に充てられるため、もしも消費減税をするなら、社会保障の整備が手薄になります。
政府が2025年11月28日に公表した2025年度の補正予算案で「医療・介護等支援パッケージ」として1兆3649億円を計上しました。
12月19日、診療報酬のうち、医師や看護師らの人件費に回る本体部分について、2026年度改定で3.09%引き上げる方針を固めました。内訳としては、医療従事者の賃上げ対応に1.70%、光熱水費などの物価高対応に1.29%などが想定されています。引き上げ率が3%を超えるのは1996年度改定以来、30年ぶりです。
また、薬価部分は−0.8%台で調整されていて、本体部分と薬価部分を合わせた全体では、2012年度以来14年ぶりのプラスとなる見込みです。
厚労省は3%超、財務省は2%超の水準を提示していましたが、最終的には日本医師会の全役員総出の働きかけにも後押しされ、首相判断となった模様です。
OTC類似薬については、健康被害の問題や地方等で薬局がないところでは薬剤を購入できない、院内処方も在宅でも処方できないなど、問題だらけの保険適用除外は、結局は患者負担額の引き上げで決着しました。11万床削減と高齢者3割負担は、いずれも今年度は見送ることとなりました。
12月23日には、インフレが続けばさらに診療報酬を上乗せする「大盤振る舞い」も追加されました。
来年度以降に積み残した課題は沢山あるのですが、2026年度診療報酬改定では、物価・賃金上昇によって収益環境が圧迫されている医療機関の経営に配慮していただけました。
めでたし、めでたし!
(令和8年1月号)