田中 陽子
薫風之音(くんぷうのおと)がカバーした「竈門炭治郎のうた」(かまどたんじろうのうた)にはまっています。胸をうつ旋律が心にしみます。アニメ『鬼滅の刃』の挿入歌で、YouTubeで聞けます。演奏しているのは薫風之音のお二人で、新潟を拠点とする箏と尺八の和楽器ユニットです。YouTubeで「竈門炭治郎 薫風之音」で検索してくだされば見つけることができます。動画では、箏の3つのパートと尺八の3つのパートを重ねており、6つのパートの合奏のようになっています。
この動画の素晴らしいところを3つあげますと、
①お箏の音色が素晴らしい。また、箏をひく手の動きが美しい。菜の花のうえを蝶が舞っているようでもあり、清流を泳ぐ魚のようでもあり、しみじみ見つめてしまいます。爪弾く指先をみつめていると瞑想しているかのように心が静まってきます。
②「竈門炭治郎のうた」自体がすばらしい。物悲しいのに、勇気が湧いてくるようなメロディーと歌詞が味わい深い。箏と尺八のアレンジがこの曲にピッタリはまっています。私は『鬼滅の刃』のファンで、コミックス派ですが「竈門炭治郎のうた」に心打たれてアニメも全て見てしまいました。
③メタル尺八の透明感あふれる高音がすばらしい。尺八からこれほどきれいな音が出るのかと驚きます。伝統的な尺八は竹製で楽器としてのばらつきが大きくなりやすいですが、メタル尺八は形のばらつきがありません。演奏する人の力量が、はっきりと現れます。もしかしたら尺八は金属製に進化していくのかも。そうなったら面白いと思います。今年、新発売のメタル尺八、ぜひ吹いてみたいものです。
薫風之音の鯨岡徹先生に、子供とふたりで尺八を習って5年目になります。練習を全くしないでレッスンに臨むことも一度や二度ではない、なまくらな生徒ですが、寛大な先生のおかげで楽しくレッスンしています。私が使っているのは塩化ビニール製尺八「なる八くん」です。見た目は水道管ですが、良い音が出ます。教則本と合わせても、初期費用は1万円かかりません。メンテナンスもいりません。気軽に始められます。私は教わるほうが分かりやすいので先生に習っていますが、YouTubeで検索すると、尺八の吹きかたの動画もありますので、独学でも学べます。外に出かけにくいときも、自宅で練習できる尺八、始めてみませんか?
YouTube「竈門炭治郎のうた」
尺八教則本、「なる八くん」の裏、表、50cm定規
(令和2年5月号)