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新潟市医師会報より

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活〆とねかせる力

松本 重明

私の趣味は、釣りです。特に渓流釣りが好きなのですが、危険を伴うため結婚後はほとんど行っておらず、現在は海釣りばかりです。

特に好きな海釣りは、キレイな景色を眺めながらの笹川流れ沖の漁礁釣りです。水深30~50mでカサゴ、キジハタ、黒メバル、ウマヅラハギ、鯵などが釣れます。

釣り上げた獲物は、必ず活〆を行います。

魚の生臭さの原因は鱗を含め体表面のぬめりと体内の血液だと云われております。先ず魚の動きと苦痛除去を目的に側頭部から大脳に向けニードルを刺入し(脳死の状態とし、脳幹は破壊しません)、次に片側のエラをナイフで刺し(人の肺動脈に相当する部分を損傷)、海水の中で脱血死を待ちます。脱血していない鮮度の良い魚は当日三枚におろすと身の毛細血管からどんどん血が湧き出てきますが、この僅か一手間で味は大きく変わります。特に鰤などの青物には有用です。

脱血死後は眉間の辺りから大脳までニードルを刺入、抜去後同部位より脊髄腔に向けワイヤーを刺入し、尾まで進めます。脊髄腔にワイヤーが届くとその神経支配領域の筋肉は一瞬痙攣を起こすので、どこまで神経〆が進んだかは容易に確認出来ます。神経〆により神経伝達が止まるため、魚は死後硬直が極端に遅くなります。死後硬直を遅らせるための別の手段としては約15℃位で身を保管する事が望ましいそうですが、食品の安全管理からは怖くて出来ません。

尚、鯵、鯖のような大きくない青魚は首を背ビレ側に90度折り頸椎損傷させ、この時大動脈も断裂するのでバケツのなかで1分程度首を振りながら洗い続け、脱血します。

ここまで手をかけた魚を食する事は釣り人にとって至高の喜びです。当日食べ切れない魚は昆布〆を作ったりもしますが、鱗、エラ、内臓などの処理をきっちり行い、冷蔵庫でねかせます。

活〆した鮮魚は身の状態がとても良い上に、一晩ねかせる事により蛋白質がアミノ酸に分解し、旨味成分が増加する上に、皮目の脂が身に回るため最高に美味い刺身が食べられます。衛生面の問題もあるので他人にお出しするのは翌日迄としていますが、更に旨味成分が増加して行く過程を楽しみながら自身では4日目位まで食べております。

よく日本料理は引き算、フランス料理は足し算の料理だと表現されますが、和食では素材の持っているポテンシャルを如何に下げないかが料理人の腕だそうです。多少腕が悪くとも、釣り人は最高の素材を扱えるため、プロのお店より美味しい魚が食べられ幸せです。

近年パリの高級店でも活〆の手法が普及しつつあり、一部の鮮魚店では魚に活〆のタグを付けているそうです。食の世界でも日本の素晴らしい技術がグローバル化しているようです。

(令和3年2月号)

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