大川 真名子
日常から非日常へ。アーティストにはまるきっかけは、歌詞であることが多いです。その世界観を直に体験するのがライブです。
好きなアーティストを見つけたらファンクラブに入ってなるべく良席をゲットすることにしています。私が入っているのはスキマスイッチとback numberです。
スキマスイッチのライブはCD音源とはひと味違うアレンジが楽しいです。ボーカル大橋さんの歌唱力と時折入るフェイクもライブならではの熱量です。ベテランサポートメンバーのソロ回しも秀逸です。ライブ終盤にはコールアンドレスポンスあり「新潟、歌うまいねー!」と煽られます。確かに他の地域に行くと声の大きさや音程が気になるのでお世辞ではないのでしょう。
back numberのギターボーカル清水依与吏の描く歌詞と、その情景を語るように歌う彼の切ない声が好きです。2016年の幕張メッセでこのバンドは成長する余地がある、こんなに良い歌詞が描けるならもっといいライブができるはずとファンクラブへ。2017年のツアーでは新潟2daysでやっと肉眼で表情がわかるくらいの席をゲット。さいたまスーパーアリーナでは当日のライブ映像化が決まっているのに依与吏の喉の不調があり、それでも曲の世界観を丁寧に伝えようとする依与吏の姿を祈るような気持ちで見つめていました。終わった後はどっと疲れて新幹線に乗ったっけ。なかなかチケットが取れなくなってきた2019年のツアー。できる限り診療に支障のない日を探して日本武道館での木曜夜のライブを公式チケットトレードでゲット。もちろん午後出発の日帰りです。聖地である武道館は何かが違う。かっこよかった。お盆休みのサンドーム福井は途中で和倉温泉に泊って夏の旅行も兼ねました。ライブ中、夫は福井駅前の居酒屋で楽しんでおりました。運転手になってくれた夫に感謝です。「SISTER」は応援歌という陳腐な言葉では説明しきれないのですが、サビでは会場中がジャンプし多幸感が満ちあふれます。通常ツアーとは別に、ファンクラブ限定ライブがあります。ライブハウスでスタンディングなので体力が重要です。なんといっても距離的に近く、通常ツアーではやらないレア曲で盛り上がります。インディーズ時代の「春を歌にして」を今の依与吏の声で聴けた感動は忘れられません。目が合った感も半端ないです。同じセットリストなのになぜ何回も観るのかという問いに対しては、一度として同じライブはないという答えにつきます。細かい違いを見つけるためライブに行くといった方がいいかもしれません。長いツアーが終盤に近づくと迷いが吹っ切れたようなパフォーマンスを目の当たりにし、ライブを通して彼らが成長していることがわかりうれしいのです。
子育ても終了したのでライブを兼ねて日本中を旅行したいという夢を持っていました。しかし、COVID-19のせいで難しい状況になってしまいました。オンラインライブ配信をいくつか楽しみましたが、メディア環境を整え部屋を暗くしてヘッドフォンで聴いていると意外と最前列で観ている感覚にもなります(お酒も飲めますし)。ですが、やはり生のライブにはかないません。コロナが明けたら思い切りライブを楽しめるように引き続き体幹を鍛えておこうと思います。
(令和3年5月号)