高橋 美徳
2020年は秋から「ラニーニャ現象」が続き、去冬12月中旬から1月中旬は寒く、北陸地方の降雪量は例年比141%だったそうです。睡蓮鉢は雪囲いをする余裕もなく、こんもり盛られたかき氷の様になってしまいました。5ミリ厚の氷も張って、酸欠になってしまう?と思いきや、エアポンプで水中に空気を送っていたため、そこだけは氷が張らず外気に触れていました。もっとも氷穴釣りができるのですから、外気に触れていなくとも、水草からの酸素や溶存酸素で冬眠状態の水性生物が生き残るのには十分なのでしょう。穴の空いた素焼き鉢を沈めて落ち着ける場所をつくり、越冬可能な水草を選んでおいたので、耐えきれなかった何匹かを除いて春には多くが活動を再開してくれました。
睡蓮は6月から9月が開花期ですが、盆になっても蕾すら出てこず、葉ばかりが水面を覆っています。睡蓮の開花には十分な日当たりと2週間おきの少量の肥料、根詰まりしていない土壌環境が必要なのですが、睡蓮以外の植物がランナーを伸ばしてどんどん増えたため、株元への日照を妨げて、栄養分も持っていかれてしまっているようです。
そんな中、とうとう我が家の睡蓮鉢に待望の花が咲きました!写真を見てください。ピンクの花が可愛らしいワンポイントになっていますよね。
ごめんなさい、白状します。これは植込み済みのカゴ植えを購入して、速成に咲いてもらった代物なのです。手前は新しい鉢、奥は葉ばかり伸びた昨年からの鉢です。どうしても睡蓮花の顔が見たくて、ネット販売でポチってしまいました。TV番組でヤラセ映像を使用してしまう思いがわかります。望んだ結果を早く出したい気持ちは抑え難いものです。花はわずか3日で沈んでしまいました。
暑かった期間が僅かだったこの夏ももうおしまい。来年こそはオリジナル鉢の花を期待して、根茎植え替えの時期が来ます。ぼんやり水面を眺めていると針子の姿がちらっと見えました。針子は通常、裁縫をする若い人を指す単語ですが、メダカ育成の通人はメダカの稚魚をこう呼ぶのです。成魚は稚魚を食べてしまうので、繁殖を狙う場合は卵付きの水草を隔離して管理する必要があるのですが、ビオトープですから自然の流れに任せようと思います。稚魚用の餌を多めに与えて越冬できる体力をつけさせるつもりです。
ここ最近、トンボの姿をみなくなってしまったので、ヤゴが入っても良いという気持ちでネットを外しました。今年は迷惑だった蚊ですら少なかった気がします。6回目の生物大絶滅が進行中だからなのでしょうか。
(令和3年10月号)