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新潟市医師会報より

新潟市医師会

犬とお散歩

黒田 兼

タイトルを「犬のお散歩」にするか「犬とお散歩」にするか迷った。「犬のお散歩」ならばそれに続くのは「につきあう」か…「犬とお散歩」だと「する」とかだなあ、とぼんやり考える。

15歳という天寿を全うしたラブラドールレトリーバーの後に飼ったのは、ゴールデンレトリーバーだ。街を歩いていると「おっきな犬ですねぇ。お散歩させるの大変でしょ?」と声をかけられる。

前の犬が亡くなってから、当然のように散歩がなくなった。手持ちぶさたな感じがした。しばらくして新しい犬がやって来たけれど、子犬の時期にはそれ程散歩は必要ない。だが、あっという間に30kgに迫っていく大型犬を持ち上げる機会が増え、腰痛に悩まされだした。「やばい、このまま腰痛持ちになるのか」と落ち込んだ。ところが犬の成長に合わせて散歩の距離が次第に伸びていくと、腰痛は自然に消えていった。やっぱり体を動かすって大切なんだなと実感したものだ。今ではスマートウオッチで、距離や歩く速度を毎日計測している。最低でも1時間で4〜5km、長ければ2時間くらい散歩する。

だが、いつも脇目も振らず歩いているわけではない。コロナ禍となり、飲食店の店先にテイクアウトの看板が目につくようになった。おじさん一人で看板をキョロキョロ見て回るのは、お店の人や道行く人の目が気になってちょっと抵抗がある。しかし犬連れならばあーら不思議、「私、散歩中ですから」という言い訳が立つので、抵抗感はなくなりじっくり看板のメニューが読める。お店の方が犬好きならばさらにラッキー。最近では白山神社近くにできた豚汁屋さんの前でメニューを見ていたら、「わー、かわいい犬ですね」とお店の方が出てきた。犬の話をしつつお店のおすすめを詳しく聞くことができた。無水調理で、お野菜の水分だけで作っているとのこと。テイクアウトの選択肢がまた一つ増えた。

犬と一緒でなければ声を交わすことはないであろう人達との出会いもある。印象に残っているのは50代くらいのご夫婦だ。夜、人通りも少ない柾谷小路の交差点で、先代犬のラブラドールはおすわりして信号待ちをしていた。触っていいですかと二人は近づいて来られ、「お名前は?」などとお話しをしていた。と、奥さんが突然涙ぐみ「この前うちのラブラドールが亡くなっちゃったの」とおすわりしたままの犬をギュッと抱きしめたのだ。予想外の展開にうろたえる私。ご主人が慌てて「ご迷惑になるから…」と諫めたが、奥さんは犬を抱きしめたまま泣いている。その時の犬の様子はというと、「えっ、この場合このままじっとしてた方がいいですよね?」と言っているかのように、ちょっと困った表情で私の方を見ながら、静かにおすわりを続けていた。長く感じたが1、2分間くらいだっただろうか、奥さんは少し落ち着いて犬から離れた。「ずっと元気でね」と奥さんは犬を撫でてから、名残惜しそうに去って行った。その後ろ姿を見送りながら、ペットとの別れはそんなに辛いのかと、ちょっとした衝撃を感じていた。そして我が犬に「おまえ、なかなかやるね」と声をかけてやると、こちらを見上げながら、得意げに尻尾を立てた。

犬と散歩すると、一人なら行かない、あるいは行けない場所へ行ってみたり、いろいろな人との出会いがあったり、世界が広がっていく気がする。今日も犬と一緒に歩きながら、お散歩させているのではなく、実は犬にお散歩させてもらっているのでは?と気づくのである。

(令和4年2月号)

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