相馬 博志
ある会社が持ってきた小冊子に「読んでみたい一冊」として紹介されていたので、どんな内容かと興味を持って、早速読んでみました。
主に解剖学と生理学の分野に関して左ページに設問とそれに対する正解を3つの候補から選ばせる方式をとり、次ページに正解と解説が載せられています。第1章「全部でいくつ?」から第7章「比べてみよう!」まで全部で58の設問で構成されています。
一度は学生時代の講義で聞いたこともあるような内容ですが、あらためて数字で知らされると、たしかにヒトのからだの不思議さに、驚かされます。
最初の設問「ヒトの細胞は全部でいくつ?」正解は約60兆個ですが、始まりは直径約0.1〜0.2mmの1個の細胞(受精卵)です。そのたった1個の細胞が分裂して2個になり、それぞれが分裂して4個になりを繰り返し、やがて約60兆個にもなるのですから、理論的には分かっていても60兆という数字を見せられると、不思議と言わざるを得ません。
こんな設問もありました。「一生のうちで表皮は何回生まれ変わる?」何回だと思います?約1,000回生まれ変わるといいます。表皮は4週間で再生を繰り返すので、一生を80年とすると80年×365日÷28日で約1,000回となるのです。
もう一つ「妊娠すると子宮はどれくらい大きくなる?」妊娠していない子宮は小さい鶏卵大くらいで、容積は約2mlです。出産を迎える頃の容積はどのくらいでしょう。なんと約5,000mlにもなります。こうなると不思議というより神秘的でさえあります。
本の構成上解説を1ページに収める必要から説明が物足りないところがありますが、一般の人を対象とした本ですから、いたしかたないでしょう。
最初から読む必要はなく、診療の合間に、適当に開いたところを見て「正解はどれかな」と考えてみてもらえば良いでしょう。
『数字で読み解くからだの不思議』
著者 | 竹内 修二 |
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出版社 | 講談社 |
定価 | 820円(税別) |
(平成24年10月号)