村竹 辰之
よくあるハウトゥーものである。物欲をそそられるグッズが満載で、広告も多い。文芸的な雰囲気はかけらもない。表紙右肩には『JBBQAオフィシャルマガジン』と記され、さらに『教科書』とある。JBBQAは日本バーベキュー協会という団体の略称とのことだが、果たしてバーベキューに協会が必要なのだろうか。
さて、私、昔から火をいじるのが好きであったのだが、十年近く前に某所で薪ストーブを拝見し、自宅に設置できないものかとしばらく画策するも諸事情で断念。その代わりに自宅の狭い庭で始めたのがバーベキューであった。雪が解けてから降り始めまで、家族に迷惑がられながらも、バーベキューをやっていた。そんなある日、先輩からバーベキュー検定なるものの存在を知らされる。「へー」で終わるの通常パターンだろうが、私はそれに乗っかった。インターネットで調べて発見したのが主催団体であるJBBQAであった。ようやく今年受験でき、晴れてバーベキュー初級インストラクターになったところである。
この本にはバーベキュー検定合格のための知識が含まれており、さらにBBQを楽しく実践するための心構え、基礎知識、レシピ、その他が紹介されている。あっという間に読めてしまうが、BBQの奥深さが垣間見られる。私がこれまでやっていたバーベキューはBBQではないらしい。野外焼肉と称するのが正しい。これはこれで十分楽しめるものであるが、本来のBBQとは別物であることを知った。北米やオーストラリアに居住経験がある方はご存知かもしれないが、当地では、肉や魚などの食材を大きな塊のまま調理して、みんなで切り分けて食するのが流儀のようだ。焼き肉で使うような上質な肉でなくとも、普通の肉をあの手この手で工夫して調理し、みんなでおいしく分け合うのがBBQである。ちなみにバーベキュー検定合格者は全国で5,000人を超えたそうだ。また各地に支部があり、新潟支部は全国第一号である。どうもバーベキュー協会は日本各地に必要なようだ。
『おいしいバーベキュー』
出版社 | 株式会社ネコ・パブリッシング |
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価格 | 630円+税 |
(平成27年10月号)