大滝 一
『目覚めれば異国の港』なんと素敵なタイトルなんでしょうか! まずこのタイトルに痺れてしまいました。タイトルを読んだだけで頭の中が地中海となり、その異国情緒にどっぷり浸ってしまいました。とはいっても、地中海に行ったことはないのですが……。
またカバーの装丁がたまりません。表紙の写真には、真っ青な海にゆったりと航行する真っ白な豪華客船。その右舷後方には白波を立てて高速で走る小型ボート。そして陸地には太陽の光を燦々とあびて黄金色に輝く木々。
このタイトルと装丁に完全に魅せられ、自分も必ず行くぞと決心させられた次第です。
タイトルの命名はもちろん、表紙を含めた全ての写真を撮られたのも著者です。その著者とは、新潟市民病院で長きにわたり眼科部長を務められ、今も眼科医として活躍されている藤井 青 先生です。手術手技に卓越し、眼科のGod handと呼ばれ、温厚な人柄と合わせ、今も皆の厚い信頼を集めておられる先生です。科は異なりますが、私が心から尊敬する先生の一人です。
その藤井先生と昨年11月末の医師会の忘年会で久しぶりにお会いしました。他にも市民病院などで一緒に働いた眼科の先生方も同席されており、昔話に花が咲きおおいに盛り上がりました。その中で藤井先生が「先生にあげたかなあ」と話されました。私は市民病院時代に先生が上梓された『ふるさと新潟 目玉の散歩』をいただいており、その旨をお伝えしました。そしたら「それではなくて、その後の2冊」と言われ、この『目覚めれば異国の港』と『目玉のそぞろ歩き ニュージーランドで真夏の正月』のことを教えてくれました。「それは知りませんでした」と話すと「じゃ今度、2冊送るから」とさらっと言われて、送っていただいた2冊のうちの1冊がこの本です。とても表紙がきれいなので、いつも机の端に置き、眺めては異国の港に想いを巡らせ幸せな気分に浸っています。
内容については、済生会第二病院眼科部長の安藤伸朗先生が自身のホームページに「掲載された写真は、全てご本人がデジカメで撮影されたもの。写真と豊富な記載を見ているだけで、日本にいながら地中海を旅したような気分にさせてくれる」と書かれておりますが、まさにその通りです。藤井先生には失礼かもしれませんが、一般人が撮った写真とはとても思えません。
そして、藤井先生が「はじめに」のところで書かれているのですが「豪華客船での長旅で、桁外れの高額と思っていた」、「実際に海洋クルーズを体験するまでは、自分とは無縁の旅だと思っていた」とのことです。それがある機会から海洋クルーズを体験し、その後、この本の執筆まで計4回のクルーズに参加したとのことです。
詳細は綺麗な写真を眺めながら本を読んでいただくとして、読み終えると、これなら自分にも海洋クルーズが夢ではないと思えるようになります。巻末近くの「海洋クルーズに係る留意事項」は有り難い情報です。
素敵な本を頂戴した藤井先生へのお礼も兼ねて、本稿で紹介させていただきます。昨年夏から新潟市医師会報の写真がカラーになりましたので、皆様にも表紙の美しさを感じとっていただけると思います。
藤井先生本当にありがとうございました。
『目覚めれば異国の港~ヨーロッパ海洋クルーズの旅~』
著者 | 藤井 青 |
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出版社 | 新潟日報事業社 |
価格 | 本体1,000円+税 |
(平成28年5月号)