大滝 一
まず写真をご覧ください。このパネルは市民病院近くの蔦屋書店の中に掲示されたパネルです。KADOKAWA、幻冬舎、講談社、集英社、中央公論社、徳間書店、双葉社、文藝春秋の「8社の営業担当がどうしてもオススメしたい!」その作家が今回紹介する注目の「伊岡 瞬」です。
パネルには13冊の文庫本が掲載されています。私は『代償』『祈り』『悪寒』『痣』『冷たい檻』そして新しい『本性』の6冊を読みました。その中で2冊について簡単に触れます。
まず、『本性』です。若くて美しい魔性の女に翻弄される人々。翻弄される人間たちは、魔性の女の兄に関して過去に共通の秘めた事情を持っています。魔性の女の憎しみと怒り、翻弄される男と女たちの人間模様。読み進むにしたがいぞくぞくし、結末は?と先を急ぎたくなります。かなり過激な個所もあり、読後感はさわやかではありません。しかし、ぐいぐいと引き込まれる毒を含んだ魅力的な作品です。
もう一編、私の一番のおすすめ「代償」です。不幸にして火事で両親を失った少年が、同級生がいる遠縁の家に預けられます。その同級生が悪で、彼からの数々の理不尽と戦いながらも少年は弁護士となります。弁護士となり正義感に燃える主人公に、その同級生からたってのお願いが入ります。さー、どうする…私も家内も一気読みでした。
皆さんは、パネルの13冊に『赤い砂』を加えた14冊のどこから入りますか?絶対に嵌りますよ!
『本性』
著者 | 伊岡 瞬 |
---|---|
出版社 | 角川文庫 |
発行日 | 令和2年10月25日 |
定価 | 本体800円(税別) |
『代償』
著者 | 伊岡 瞬 |
---|---|
出版社 | 角川文庫 |
発行日 | 平成28年5月25日 |
定価 | 本体800円(税別) |
(令和3年3月号)