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新潟市医師会報より

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『#名画で学ぶ主婦業』『#名画で学ぶ主婦業 主婦は再びつぶやく』『音楽の肖像』

黒田 千亜紀

出歩くことに気兼ねが要る昨今、本屋さんには行っていますか?バッタリ好きな本に出逢っていますか?

自由にあちこち行けた、ほんの1年ほど前までは、つい出先の本屋さんでハードカバーの本を買ってしまい、キャスター付きのスーツケースにワクワクを押し込んで移動していた。今時重い紙の本を買って持ち歩くなんて、ぬいぐるみを抱っこしたまま旅行する幼子と変わらないと知りながら。

そんな、本屋さんで出逢った本を少しご紹介したい。まずはちょっと問題作?『#名画で学ぶ主婦業』から。ちなみに、この本は主婦業のハウツー本ではない。私自身、表紙の絵画に惹かれて手に取ったのであって、そんな題名だとは気に留めなかった。絵画の紹介と解説の本かな?と見ると、なんだか賑やかな帯がついている。適当に中を覗いて数秒後、ひとり吹き出した。

ツイッターでハッシュタグをつけて云々という事を理解する必要も、絵画に対する造詣も必要無く、ただペラペラと捲るだけ。それで笑ってもらえれば紹介した甲斐があるという本だ。主に西洋絵画が好きな方なら、いやそうでなくとも一度は見たことのあるような名画。その名画の主人公の情況や内心を、日常のそれを充てて投稿者がコメントをつぶやいている。そんな呟きの主の心に寄り添う…というか、ただ大笑い?忍び笑い…?もしかしたら、絵画に込められた崇高な精神や深い絶望、悲嘆、慎み深い祈りなどを茶化しているようで不快に感ずる方もおられるかも知れない。実際、私もちょっとどうかなと思うところがちょこちょこある。その作品の目の前に立った瞬間、湧き起こる感覚。母の慈愛の深さ故に、哀しみを超越したような美しさ。何か特別な振動、静かな脳波が発生する様な感覚。そんな作品すらも一笑に伏してしまうのだから。しかしそこは目をつむって頂いて、絵画の背景なども一旦お構い無しに、共感出来る所、笑える所だけ観ていただければと思う。家では日々家事に育児に追われ、仕事でも社会でも息つく間もなく汲々としがちな人々─今の日本ではおそらくは殆どが女性?─の心にふっと笑いをもたらしてくれると思う。最近は今まで以上に女性の心が押し潰されているらしい報道を目にする。コミュニケーションを得意とする人が多い一方、コミュニケーション不足に弱い女性が多いのかも知れないが、こんな形でお互いの心をほぐすことが出来るなんて素敵だ。逆に大先輩の先生方、休日返上、仕事一筋、気づいたら子供達は立派に成人!という方々にこの本を捲って頂いて感想をお聞きしたい。同じように共感出来るものだろうか?ひょっとしたらさっぱり意味がわからないなんて事態も危惧される?「年に数回家族旅行に連れてってあげたじゃないか!俺はいいお父さんだなあ。いや、待てよ、日中は学会で別行動、夜は〇〇先生と旧交を深めてホテルに戻った時はみんな可愛い顔してスヤスヤ眠っていたんだっけなぁ?」そんな声が聴こえてきそう。ああ、だから『#名画で学ぶ主婦業』という題名だったのだとようやく気付く。今時の口の悪い主婦のつぶやきと吐き捨てないで、そのつぶやきに至るまでの状況を思い遣ってみて欲しい。現役子育て世代のパパだったら、身につまされてしまうかも?気が向いたら芸術大学の教授の真面目とユーモアを架け橋で繋ぐわかりやすい解説をしっかり読むのも楽しい。続編『#名画で学ぶ主婦業 主婦は再びつぶやく』も併せてどうぞ。

2つ目も頭からきちんと読む本ではなく、思いついて開いたページからその世界に入れる、軽くて深い本だ。『音楽の肖像』。表紙の絵を見て、私の大好きなデュフィになんとなく似ているけど、ちょっと違うみたい…と興味を持ったのが出逢いだった。「堀内誠一氏が遺した色彩豊かな28人の作曲家の肖像とエッセイに谷川俊太郎が32篇の詩を捧げた。」と帯にある。私は昔から見ていた絵本の作家さんが、この様な絵を沢山描いておられた事を知らなかった。パラパラとめくるうちに、この人はいろんな物を吸収して、自分の思う世界を型にはまらない自由な方法で表出できる人なんだと感じた。やはり、いわゆる画家さんとは違う。14歳で百貨店の宣伝課に入社、その後企業広告や週刊誌の仕事を経て、挿絵と絵本の仕事を始める。その頃谷川氏との仕事が始まった。40代で家族とともにパリ郊外に移り住み、ヨーロッパ各地を旅してまわったという。エッセイを読むと、私自身絵や音楽が好きで、美術館や芸術家、音楽家のゆかりの地を旅していた思い出が蘇ったり、馴染み深い名曲や作曲家にまつわるエピソードや妄想?がスッと心に入ってくる。暖かな色調のバッハ大家族の絵の隣のページには、バッハに思いを馳せたエッセイ。エッセイの片隅に、バッハのゴールドベルク変奏曲の名演奏といえば言わずと知れたピアニスト、グレン・グールドがコートのポケットに手を入れて佇む素描が添えられている。ページをめくるとゴールドベルク讃歌という谷川俊太郎さんの詩という具合。構成も自由な感じだ。耳の奥に名曲が流れてくるのも良いし、風にそよぐ梢、せせらぎやさえずりが聞こえるのでも良い。谷川さんの詩もおそらく人それぞれ、鮮烈に胸に焼きつく物、情景が目に浮かび、耳がくすぐったくなる様な臨場感を感じる詩から、耳をすり抜けて響かないものまでさまざまだろうが、ひとつでもふたつでも、息を止め、時間を止めてくれるような詩、胸が熱くなるような詩に出逢えれば素晴らしいと思う。遺稿になったラウル・デュフィについての文章にデュフィ愛を感じて嬉しかった。

どちらも3分小間切れ鑑賞OK、疲れた心を癒やすあたたかい本なので、度々手に取って息抜きしてもらえたらということでお勧めした。

『音楽の肖像』

著者 堀内 誠一 谷川俊太郎
発行日 2020年11月4日 初版第1刷発行
出版 小学館
定価 2,500円+税

『#名画で学ぶ主婦業』

著者 田中久美子
発行日 2018年9月10日 第1刷発行
出版 宝島社
定価 1,200円+税

『#名画で学ぶ主婦業 主婦は再びつぶやく』

著者 田中久美子
発行日 2019年6月8日 第1刷発行
出版 宝島社
定価 1,200円+税

(令和3年4月号)

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