八木澤 久美子
えげつない話ではありますが、私はお金持ちになりたかった。いえ正確に言うと今でもなりたいと思っています。そこでどうすればお金持ちになれるのか、お金持ちの人たちは日々どんなことを考えて生活しているのか、幼少期はどうだったのか、どう成長してきたか、など興味を持っていて、それに関する書籍を山ほど読みました。その山ほど読んだ本の1冊を今回ご紹介します。これは私のベッドサイド書籍(寝る前に読むという意味)の1冊となっている本です。
主人公は20歳の日本人大学生ケン、ケンが知り合ったユダヤ人の大富豪の老人ゲラー。2人の問答を通してお金のことや人生の何たるかを学んでいくという話の展開になっています。目から鱗の文言をいくつかご紹介します。少し長いですが、しばらくお付き合いください。
1.報酬額はその人の行ったサービスの量と質で決まる。年収5億円の人が年収500万円の人の100倍働いていると思うかね。社会のなりたちを知ることだ。
2.自分の身の程を知らずに会社を拡大し続けていくとやがて破綻する時がくる。そうならないためには自分自身と向き合い、今の現状に足るを知ることだ。会社の成長よりも人生の意味を考えるようにならなければ足をすくわれてしまうのだ。
3.幸せな金持ちになる秘訣は自分の大好きなことを仕事にすることだ。成功する確率は非常に高くなる。人はエネルギッシュに生きている人を応援したくなるものだ。だから自分が魂を打ち込めるほど好きなことを見つけ、最大限のエネルギーを注ぎ込むべきだ。たいていの人はこの作業をやらない。
4.大好きなことに巡り合う一番の方法は今やっていることを愛することだ。それに全力投球できれば導かれるように次々にチャンスが訪れる。鋼鉄王カーネギーは郵便配達でも電信技士でもどんな職務でもそれを全力で行い最後に天職である鋼鉄の分野に巡りついたのだ。天職に出会ってから頑張ろうと思っている人がいるがその逆だ。自分と向き合い才能を開発してすべてを与えようと努力する人に心の平安、富、人生の充実感がもたらされるのだ。与えようと思った人間は与えられるようにできているのだ。
5.人生は「考えること」と「行動すること」の二つでできている。今まで考えてきたことと行動してきた集大成が現在の君だ。普段考える事が現実の人生を作っているし、人生の結果はその人の本来の意図を表す。思考が人生を作っているのと同じように感情は普通の人の人生をコントロールしている。感情に人生を狂わされる人もいるくらいだ。思考や感情が人生のコントロールを奪うほどパワフルだと知って、これに対処できる人間になってもらいたい。日本語で「胆力を練る」というものだ。
6.日常的に話す言葉が運命を作る。成功者たちの話すボキャブラリーは普通の人とは違う。そして彼らは特有のリズムを持っている。自分の話す言葉に気をつけなさい。成功していく人たちは普段話す言葉に、思いやり、ビジョン、愛、友情、感謝が詰まっているものだ。
7.相手にとってメリットになる事、自分にとってメリットになる事、第三者にとってメリットになる事を考えながらすべての行動を決めなさい。そして絶対的友情は人生で最も大切な財産だ。例えば午前1時に電話をかけて無理をいえる友人が何人いるかだ。
8.幸せな金持ちはある時、不思議な事に気づく。個人がお金を所有する事は実はできないのだ。お金は社会の中を流れる川のようなもの、川の流れを独占する事はできない事を知るのだ。手っ取り早くお金持ちになる方法はこの流れを作ることだ。
9.誰でもアラジンの魔法のランプを持っている。つまり目標を達成できるという事だ。そのためには、わくわくするような目標をたてる。目標は細分化し具体的なステップを考える。目標が達成したところをイメージして楽しむ。行動を起こす。これで目標達成率が上がるのだ。
10.一人で成功している人はいない。周りのすべての人に支えられて今の自分があるというふうに感謝して過ごす人間と、これは俺がやったからだと傲慢に開き直る人間とではどれだけ将来の違いが出てくるだろうか。もし自分でできたとしてもなるべく多くの人に助けてもらう事だ。そしてその人たちに感謝して喜んでもらう事が成功のスピードを速めるのだ。
11.愛と信頼に満ちた夫婦関係は奇跡をおこす。パートナーシップを成功させるためには、問題がおこったらその場その日のうちに解決する。何か決める時は二人の合意で決める。お互いの存在を人生の奇跡ととらえ感謝すること。相手を幸せにしたいと思っても、人は自分しか幸せにできないことを知る。夫婦は運命共同体であると知ることだ。
12.セルフイメージを高め続けること。お金を持っていない時からお金持ちの気分で過ごすことだ。成功する人はどんな社会的経済の状況の時でも豊かになると確信している。この意識の違いが人生に大きく差をつけるのだ。
13.勇気を持って決断し情熱的に行動する。どんなことも意図的に決める。価値観や優先順位をはっきりさせておく。決められない時は納得するまで待つ。決断には失敗はない。一度決めたら前に進む。
14.夢を見ることを忘れない。フォードは世界中の人が車に乗るという夢を見た。エジソンは電気を世界中の人が利用できることを夢見た。
15.人生がもたらすすべてを受け入れること。この人生で起こることはすべて中立であって良いことも悪いこともない。そして、成功すればすべてがバラ色となるわけではない。愛する家族を失ってしまったり、自分や家族に事故、病気が降りかかったり、まわりから非難や嫉妬をされたりする。しかしこれらすべてを受け入れることだ。
いかがでしたか。これらは私が何回もこの本を読み印をつけておいた所です。事あるごとに読み返しています。書き出したら止まらず、すべて書いてしまいました。不思議なことですが、もはやお金持ちになろうという気は薄れ、人としてどのように生きていったらよいのかを考えさせられていました。ユダヤ人の歴史を勉強した後に読むとさらに格別でしょう。さて現実に戻りましょう。やはり私はお金持ちになりたかったし、今でもなりたいと思っています。その夢は持ち続けることとします。気になった方はぜひ購入してご一読ください。若い方たちへの贈り物としてもおすすめの一冊です。
『ユダヤ人大富豪の教え』
作者 | 本田 健 |
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出版社 | 大和書房 |
出版日 | 2006年2月15日 |
定価 | 648円 |
(令和3年6月号)