細野 浩之
現代では、大人はスマホに1日4時間も費やしているそうです。よくもまあ、4時間もスマホの何に費やしているのだろう、何をしているのだろうと思っていました。ところが、最近はiPhoneもおせっかいで、使用時間や使用内容を1週間単位で勝手に教えてきてくれるのです。その時間を見たらびっくりしました。自分も、1日平均2.4時間も費やしていたのです。確かに、朝起きるときはスマホのアラームだし、カメラはスマホになったし、車での音楽もCDからスマホに変わりました。辞書だって日本語も英語もそして医学用語もスマホです。だけど、SNSはやらない、動画も見ない、としているのに2.4時間も毎日毎日スマホを使っていたのです。これじゃあ、絶対にどうかしている。なんでそんなにスマホをつかっているのだろう?
そんなとき、ふと本屋の棚に平積みになって、2021年 上半期ベストセラー『スマホ脳』という本が目に入りました。もともとあまのじゃくな私は、『スマホ脳』のように、わざとらしく人をひきつけようとする意味の分からない造語を使った題名の本が、大嫌いなのです。大体は原題はわかりやすい、パッと見たところインパクトのない原題があって、日本で売るためにわけのわからない造語やキャッチフレーズのような題名に変えてあります。そこで、平積みになった本を手に取る代わりに、まずはこの『スマホ脳』の原題は何かが気になったので、調べてみました(スマホで!!)。
原題は「Skärmhjärnan」スウェーデン語ですが、どうもskärm+hjärnanと作者が作った造語のようでした。英語に訳すとskärm→shade hjärnan→brainでしたので、「ぼやけ脳」(?)、「霞脳」(?)とでも訳せるのでしょうか?また英語の題名が「Insta-Brain」、これもまた意味の分からない「インスタ脳」。原題も原題の英語訳も日本語訳も造語のようでありました。
自分の行動を見て、やっぱりスマホに依存しているじゃんと感じ、平積みになっている『スマホ脳』を一つとって家に帰り、さっそく読み始めました。ふむふむ、なるほど。題名は「スマホ」となっていますが、内容は「デジタル」社会全体について、精神科医の作者が多くのデータより、人間の脳にどのような影響を与えているかを解説しています。あっという間に読んでしまいました。だけど、深く集中できない自分を感じ(その理由も本の中で触れています)、そうか私の脳も『スマホ脳』となっているのか…。これはちょっと生活様式を変えてみないといけないかなと思うのでした。老眼にはちょっときつくなってきましたが、本はやっぱり紙が良いです(その理由も本の中で触れています)。
『スマホ脳』
著者 | アンデシュ・ハンセン(訳者:久山 葉子) |
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出版 | 新潮社(新潮新書) |
発売日 | 2020/11/18 |
定価 | 1,078円 |