新潟市医師会勤務医委員会委員
新潟市民病院 腫瘍内科
伊藤 和彦
勤務医ツイートは、2020年9月から新潟市勤務医委員会が主体となり、新潟市医師会報にツイートする(小鳥がさえずる)コーナーを設けたものです。第1回ツイート(佐藤雄一郎委員長)にある通り、当委員会のテーゼは「医師の働き方改革に寄り添う」です。当委員会の活動として、医師当直や医療秘書の現況を調べ、病院間の差を明らかにすることで、各病院における状況改善を目指しました。また、市の医師会から補助していただき、医療秘書の教育支援を行うことで、勤務医の環境改善を目指しています。
2024年4月に、時間外労働(超勤)の上限規制が医師にも適用されます。一部例外はありますが、多くの勤務医は超勤を年960時間以内とする必要があります。管理部門により適正な勤怠管理が必要とされ、連続勤務時間制限・勤務間インターバルの確保・代償休暇のセットが必要となります。勤務医としては超勤を制限内に抑えるため、タスクシフト・働き方の計画を管理部門とも調整し、3年後には何とかする必要があります。以上は勤務状況の厳しい人の話です。
他方、勤務状況に関わらず、年次有給休暇(年休)5日間取得が義務となったのは、第196回通常国会において「働き方改革を推進するための関係法律の整備に関する法律」が成立したためです。同法が2019年に施行されてから、当院における年休5日以上の取得率は100%で、違反者1人につき1罪(罰金の対象)となることからも、管理者は違反を見逃せません。当初は平日に休みをとる違和感がありましたが、徐々に慣れてきたようにも思います。勤勉を良しとする日本で、労働者の権利行使(年休取得)は難しく、学会出張では勤務を休めても、レジャーのためには休みにくい時代が長かったように思います。これからの医師は、老若に関わらず、年休取得が当たり前のことになっていくのでしょう。
勤務医の働き方改革にむけての取り組みは道半ばですが、声をあげることで上手に医師会に働きかけて、自らの環境改善を目指していきませんか?望みが全てかなうことはあり得ませんが、何も働きかけをしなければ改善することは期待薄です。お近くの勤務医委員会メンバーや、医師会事務局(niigatashi@niigata.med.or.jp)に、問題点や改善希望事項などについて声をかけてみてください。
また、新潟県医師会にも勤務医委員会があり、おおむね5年ごとに勤務医アンケートを行っています。前回の冊子発行が2017年でしたから、近いうちにアンケートを行います。「なにも改善しない」という声がいつも聞こえてくるのですが、結果は医師会が共有し、できることから対策をとるように努力しています。面倒ではありますが、自分の、また後輩たちの環境改善のためにも、アンケートへのご協力をお願いします。
P.F.ドラッカーの名著『マネジメント』に、「壮大な未来だけを語り現在をないがしろにすることは無責任」、「未来は予測不能だが現在からしか到達しない」などと書いてあります。現在できる取り組みを少しでも行えれば、良い未来をつくる一助になるかもしれません。
(令和3年7月号)