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新潟市医師会報より

新潟市医師会

往診を始めました

小林 真

昨年3月から往診(訪問診療)を始めました。豊栄病院としては、以前から行っていたのですが、私としては、初めてでした。今までは、確実に往診の予定を組める時間がなかったので行わなかったのですが、昨年から、月に1日だけ、午後に比較的余裕ができるシフトになりました。ちょうどその頃、当方外来通院中の患者さん(90歳代、糖尿病、脳梗塞、気管支喘息など)が、通院が大変になった(なかなかの体格で、片麻痺もあって、杖で歩くのが大変でした)ので往診して欲しい、と希望されました。それまで、往診に行ったことがなかったのですが、時間に余裕ができたのと、7~8年診ていた方でもあったので、他の先生にお願いするのも申し訳ないな、と思い、往診を決断しました。初めてだったので、看護師さんや、相談員の方達に段取りを整えていただき導入しました。往診を行う方全例で当院の訪問看護ステーションから訪問看護をしていただくことにしているので、訪問看護師さんにもお願いしました。この方は、屋外を歩くのは大変ではありましたが、家の中では杖歩行や、伝い歩きはできる方で、状態はよく、これまで、大過なく過ごせています。本当は通院していただければよかったのですが。

2人目の方は、すでに当院の訪問看護を利用されていた方です。認知症と肝硬変の方で、以前は何とか奥様に連れてきていただいて診察していたのですが、徐々に寝たきりになり、家族のみ受診になり、ご家族と訪問看護師からの情報で処方などをする状態でした。そこで、前述の1人目の訪問診療を始めた後に、それなら、よっぽどこちらの方を訪問してあげた方がよいのではないか、との話になり、訪問診療を開始しました。この方は本当に寝たきりで、認知症のために意思の疎通は困難でした。

どちらのお宅も、病院から5kmほど離れた農業地域の集落にありました。私は、残念ながら北区に住んでおらず、道に疎いため同行してくれる看護師さんに道を教わらなければなりませんでした(病院の車にはナビがついていません。看護師さんが、訪問看護師から住宅地図をもらい、事前に確認してくれていて、道案内をしてくれます)。平日の白昼に病院外に出ることが、年に数日の年休の日だけだったので、新鮮ではありました。訪問する前に、訪問看護師から、最近の状態や、問題点の有無、傷・褥瘡などの変化、相談事項などを聞いておくので、行ってからいきなり困ったことになることはほとんどありません。そこは、訪問看護師様々です。

その後、新しい患者様のところに訪問診療に行くことになりました。80歳代の女性で進行した悪性腫瘍の方でした。いつもですと、入院して緩和治療を行い病院で最期を迎えることになってしまうか、と考えるケースでしたが、コロナ禍でもあり、入院すると面会も外出泊も難しくなりますし、ご家族(同居は旦那さんのみでした)が熱心で、家で過ごす時間をなるべく長く、とおっしゃったため、模索、訪問看護と訪問診療を行うことになりました。緊急時、特に最期が近くなった時の対応に悩みました。往診に行かれている先生方によっては、休日・夜間でも訪問し、診察や最期の確認をされる場合もあるかと思いますし、あるいは、翌朝訪問し、診察、確認とする場合もあるでしょう。ただ、当院では、緊急の訪問診療に対応することがなく(昔はやっていたかもしれないのですが、最近はあまりしていない、と聞きました)、患者様宅で最期の確認をすることは難しいと思われ、どのように、なるべく自宅にいる期間を長くするか、に苦慮しました。結局、ご家族が限界と判断した段階で、救急車を呼んでいただき、外来あるいは、入院して、病院で最期の確認をすることになるだろう、と話をしました(このような救急車の使い方をしてよいのか、悩んだのですが、自家用車で来院していただくことも困難なため、申し訳ない、と思いながらも、このやり方を選択させていただきました)。訪問看護師が週2回訪問し、私は、月1回往診、その間、訪問看護師からその都度状態の報告をうけ、処方の変更や、今後の方針を検討しました。事前に看護師から情報を得ることにより、往診の場で急な問題に出くわすことはありませんでした。最期は、訪問看護師から状態が悪化しつつある旨の連絡を受け、家族と相談し、救急車で搬送となり、外来で最期の確認となりました。最期まで自宅で、とはできなかったものの、可能な限りの対応をしたのでなないかと考えました(自己満足かもしれないとは思うときもありますが)。

今回、終末期の患者さんに自宅で過ごしていただくための訪問診療を行いました。今までなら、やや諦め気味に、当然入院になるだろう、と思うようなケースでしたが、ちょうど、往診をできる状況にあって、また、事前に訪問診療を経験していたこともあり、自分個人としても前向きに考えることができました。ご本人・ご家族の、厳しい状況下でも、自宅で過ごすということに対する、覚悟と勇気が必要だと思うので、それを後押しするのが、重要と考えました。また、なるべく自宅で、とはいうものの、自宅での療養を強制するものではないので(当然ですが)、ご本人、ご家族が、自宅での生活に困難や不安を感じた場合には、いつでも、訪問看護師を通じてでも、直接連絡をいただいてでもよいので、病床が確保できる限り、入院で対応できることを伝えました。このことにより、患者さん・ご家族に安心感を持っていただくのは大事ではないかと考えました(その点に関してだけは、病院から往診する、強みだと考えます)。

そもそもではありますが、当方が、訪問しない間に、頻回に訪問し、患者の状態確認とその報告、患者・家族からの相談や対応、など、当院の訪問看護師が多くの役割を果たしてくれていました。院内の訪問看護ステーションだったので、連絡・相談もスムースに行えました。終末期の在宅診療で、(私の場合は)医師よりも、訪問看護師の存在の方がよほど重要だったのではないかと考えました。

今回のような条件のケースはそんなにないと思いますが、患者さん・ご家族の希望があり、状況が許せば、こういった訪問診療を行えたら、と考えました。

(令和6年4月号)

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