のぶ皮膚科
佐藤 信之
帯状疱疹は水ぼうそうと同じ水痘帯状疱疹ウイルスによって引き起こされる病気です。子供のころにこのウイルスに感染すると水ぼうそうを発症します。水ぼうそうが治った後、ウイルスは神経節といわれる神経細胞の集まる場所にずっと潜んでいます。細胞性免疫という監視システムによってしばらくはおとなしくしているのですが、加齢、免疫を下げる薬の使用などにより免疫が低下すると、潜んでいたウイルスが再び活動を開始することで帯状疱疹が発症します。
体の左右どちらかにチクチク、ピリピリした感じが出て、数日後に赤い皮疹、水疱が出現し広がっていきます。
皮膚の症状は10日から20日程度でよくなるのですが、痛みの治り方はひとそれぞれです。高齢の方、皮膚症状が広範囲に及んでいた場合、内服治療が遅れた場合などは神経痛が長く続く可能性が高くなります。耳にできた帯状疱疹により顔面神経麻痺、めまい、難聴などが起こる「ラムゼイ・ハント症候群」にも注意が必要です。
治療はウイルスの増殖をおさえる内服薬(抗ウイルス剤)が主体となります。痛みを伴うことが多いので鎮痛薬を併用します。
[ワクチンについて]
子供に対する水痘ワクチンが定期接種化されて以来水痘患者にふれる機会が減っています。いわゆるブースター効果を得るためには大人に対してワクチンが必要です。予防ワクチンは帯状疱疹発症を減らせるだけでなく、発症した場合でも重症化を防いだり帯状疱疹後神経痛に移行しにくいといった効果も期待できます。最近では帯状疱疹にかかるとその後の脳卒中や心筋梗塞のリスクを高めるというデータもありますので、発症予防のためにもワクチン接種はおすすめです。
現在、予防ワクチンには弱毒化したウイルスを用いる生ワクチン(水痘ワクチン)とウイルスの成分を利用した不活化ワクチンの二種類があります。どちらもウイルスに対する免疫力を高める効果が得られますが、効果や値段、接種回数、副反応の違いなどもありますので医療機関でご相談ください。
(2024.12.25)