県立がんセンター新潟病院 婦人科
西川 伸道
子宮頸がんとは
子宮の入り口にできる癌を子宮頸がんと言います。日本では毎年約11,000人が浸潤がんを発症し約2,300人が死亡しています。子宮頸がんは40歳代がピークであり、20歳代でも多くみられ、がんの中でも比較的若年で発症するという特徴があります。
子宮頸がんはどういう人がなるのか
子宮頸がんの原因は、ヒトパピローマウイルス(HPV)というウイルスであることがわかっています。このウイルスはありふれたウイルスであり、性経験のある女性の50%以上が生涯で一度は感染すると言われています。子宮頸がんに関わるHPVの型は十数種類あります。
子宮頸がんの予防について
子宮頸がんの予防にはHPVワクチンが有効です。世界110か国以上で接種されており、9種類のHPVの感染を防ぐ9価HPVワクチンを接種すると8~9割の子宮頸がんを予防出きると言われています。
子宮頸がんのがん検診について
子宮頸がんはウイルスが感染してからすぐにはがんにはならず、「異形成」というがんの手前のものが出現し、がんになるには数年かかると言われています。そのため、2年に一度くらいのペースで細胞診によるがん検診をしていれば、がん検診異常と報告されるもののほとんどが異形成の段階で診断されています。近年HPVウイルスの検査で異常無ければ5年に1回でもよいと報告がされ、子宮頸がん検診は細胞診からHPV検査に移行していく予定です。
子宮頸がんの治療について
上皮内がんまでであれば、子宮の入り口だけを切り取る子宮頸部円錐切除術を行います。この手術は腟からの手術で、手術の後も妊娠が可能です。しかし浸潤をしたがんの場合には子宮を摘出する手術が必要になります。手術で摘出が難しいくらい進んだがんの方や高齢の方には放射線療法や抗がん剤を使った治療をすることになります。
さいごに
子宮頸がんはワクチン接種で将来的に撲滅できる可能性も十分にあり、定期的ながん検診をすることで、浸潤がんになる前に見つけることができます。市町村から「がん検診のお知らせ」が届いたら、ぜひがん検診を受けて下さい。
(令和7年7月号)
(2025.07.31)