小柳 亮
(KOYANAGI真柄CLINIC)
皆さん健康診断を受けていらっしゃいますか。新潟市の健診や会社の健診で「脂質異常症」と言われた方がいらっしゃるかと思います。
脂質異常症は、空腹時で採血した脂質関係の値が異常を示している状態をさします。LDL-コレステロールが140mg/dl以上、HDL-コレステロールが40mg/dl未満、中性脂肪が150mg/dl以上となっています。
健康診断はそもそも病気にならないために行います(一次予防と言います)。私たち医師は日本動脈硬化学会が5年ごとに出している『動脈硬化性疾患予防ガイドライン』をもとに、個々の患者さんの状態に応じて、脂質異常症による動脈硬化で起こる、脳梗塞や心筋梗塞といった病気のリスクを軽くするため、健診の結果を総合的に判断してお話をしています。
このガイドラインが2017年6月に改訂され、皆様の健診の項目にも新たにNon-HDLコレステロール血症(Non-HDL-C=総コレステロール-HDLコレステロールの値)が追加されました。
Non-HDL-Cが150~169mg/dLの場合は「境界域高Non-HDL-C血症」、170mg/dL以上の場合は「高Non-HDL-C血症」と診断され、高LDL-C血症や低HDL-C血症などと同様に、リスク評価の対象になります。
さらに糖尿病(耐糖能異常除く)、慢性腎臓病、非心原性脳梗塞、末梢動脈疾患があれば「高リスク」に該当し、一次予防としては最も厳格な管理目標を目指すことになります。
上記に該当しない場合のリスク評価には「吹田スコア」に基づく10年以内の冠動脈疾患発症率により、治療法を選択します。Webアプリ(http://www.j-athero.org/publications/gl2017_app.html)も公開されていますので、医師と一緒に健康診断結果をもとにリスク診断し、今後の管理をしてみてはいかがでしょうか。
一次予防でのコレステロール目標値達成については、栄養指導などの薬によらない治療が基本ですが、検査データを総合的に考え、個々人の状態に合った方法で生活習慣改善や薬物治療を選択してゆきます。検査データに異常があった場合には、良きアドバイス相手としてかかりつけ医に是非ご相談ください。
(2018.07.27)