ほその循環器科・内科クリニック 細野 浩之
新しい高血圧治療ガイドラインで示された高血圧の基準値は従来通り、≧140/90mmHgで、正常血圧は<120/80mmHgです。その間は、高値血圧130-139/80-89mmHgと正常高値血圧120-129/<80mmHgに分類されています。降圧目標は、75歳未満の人で血圧130/80mmHg未満と強化されました。正常高値血圧以上では、生活習慣の修正が必要で、高値血圧および高血圧の人では、生活習慣の修正を積極的に行い、加えて非薬物療法を行ったうえで、必要に応じて降圧薬治療を開始することが推奨されています。降圧目標が厳しくなったことは、内服薬をすぐにでも開始しなければいけないということではなく、それ以前に生活習慣の修正と非薬物療法(運動など)が必要です。
必要な、生活習慣の修正は減塩(1日6g未満)、野菜・果物の積極的摂取、コレステロールや飽和脂肪酸の摂取を控えて魚油の積極的摂取を行うこと、適正体重(BMI25未満)の維持、節酒、禁煙、そして運動です。
運動は血管内皮機能が改善し、降圧効果が得られます。運動すると一時的に心拍数、呼吸数が上昇し、この時血圧も上昇します。しかし運動を終えた後はカテコールアミンなどの神経伝達物質が減少し、結果血圧が下がります。高血圧の予防、治療にはジョギングなどの有酸素運動が優れているとされていますが、ハンドグリップの運動だけでも降圧効果を認める報告もあります。ではどんな運動をどれだけすればよいのでしょうか。まず運動強度は最大運動能力の50%が目安です。運動中に隣の人と話の出来る程度です。様々な報告を総合すると少しきつい程度の有酸素運動とレジスタンス運動(筋トレなど)を組み合わせ、毎日30分か1日60分を週3回程度の運動(分けても効果あり)で降圧効果は出るようです。運動は他にも、脂質や糖の代謝、インスリン感受性改善、肥満防止、循環器合併症による死亡率低下の作用もあると言われています。血圧が高値になったら降圧剤内服のみに頼らず、生活習慣改善、継続的な運動を心がけてください。
(2019.07.24)