羽入 貴子
(はにゅうクリニック 眼科)
★小さい子の検査するのは大変ですね。でもやる意義は大きい!
人間が産まれてから良く見えるようになるのには時間がかかることと、視力が育つための条件があることは意外と知られていないかもしれません。生後3ヶ月の赤ちゃんの視力は0.05程度です。
視機能が発達するのにはいくつかの条件があります。まず、2つの眼の網膜の真ん中にしっかりと像が結ばれる必要があります。また、その網膜に届いた光信号がしっかりと脳に届くことによって、脳の発達と共に視力は向上していきます。脳の未熟な年齢は実は視機能の発達には大事な時期なのです。そのため3−5歳の視力の検査は意義があることです。なぜなら、もしも弱視や斜視があった場合には幼若な年齢で治療を始めると、将来の視機能を改善する可能性が高まるからです。
ご家庭で行う3歳児健診の視力検査は3歳半の頃が推奨されていますが、その頃のお子さんの視力を正確に測るのはなかなか時間と労力が必要ですよね。しかし、これは大切な検査ですので是非とも親子で頑張って頂ければと思います。また、保育園、幼稚園、こども園で行われる健診も大切です。健診の結果、医療機関の受診を勧める用紙をもらった方は速やかに受診し、異常の有無を調べましょう。
★スマートフォン(スマホ)を見ている時の眼の状態は?
スマホは多くの情報を短時間で得ることができ、今や我々の生活に深く浸透し、その有用性は測り知れないものがあると思います。その一方で、おとなでもスマホを長時間集中して見た後に眼の疲れを感じる方も多いと思います。
スマホなどの小さい画面を至近距離で見る時の眼の状態はどうなっているのでしょうか?至近距離の物を見ようとすると近見反応という状態が起こります。まず、眼の中の毛様体筋という筋肉が緊張し、水晶体が少し厚くなり、眼が内側に寄りやすくなります。この時の眼の度数は少し近視側に変化します。そのため、至近距離で長時間見ることは視機能が発達している途中の眼の両眼視機能への悪影響が懸念されます。
このような理由でスマホの見過ぎは避けるべきです。子供たちがもう少し大きくなる頃にはこういうIT環境も変化することでしょう。AIスピーカーのような視覚に負担をかけないIT環境の技術革新が進んでいけばいいなと思います。
(2018.09.28)