ふじい眼科 藤井 靖
健康診断での眼科検査項目は、視力検査と眼圧検査、眼底写真検査です。年齢や施設によっては除外される項目もあります。
視力検査では、普段変わりなく見えていると思っていた人が見えにくくなっていたことに気づく場合があります。眼鏡やコンタクトレンズが合っていないだけの場合も多いです。眼科受診のきっかけにしてもらえれば良いと思います。
眼圧検査では眼圧が高いタイプの緑内障患者さんがみつかります。眼科での緑内障検査が必要です。
眼底写真検査では読影に3つのポイントがあります。
①視神経乳頭(視神経と血管が眼球に出入りする部位)
②黄斑部(視力を司る部位)を中心とした網膜
③網膜血管
最も指摘されることが多い所見は、視神経乳頭陥凹拡大です。これは病名ではありません。眼圧の値にかかわらず緑内障を疑う所見があるという指摘です。視野検査や三次元画像診断などの精密検査が必要です。
黄斑部に病気が起こると、通常は中心が見えにくくなったり歪んで見えたりするなどの症状で気づきますが、症状が軽かったり片目ずつ見え方をチェックしたりしなければ気づかないこともあります。黄斑部には早期治療が重要な加齢黄斑変性や手術相談となる黄斑上膜や黄斑円孔など、白内障や緑内障に比べれば一般にはあまり知られていない病気がみつかります。黄斑部の病気は治療の時期を逃すと視力回復や維持が困難になります。早期の精密検査が必要です。
高血圧や動脈硬化がある人の網膜動脈は、細くなって動静脈交差部で交差現象という血管変化を認めることがあります。ここに網膜出血や白斑が加わると高度の高血圧が疑われます。同時に血圧検査や血液検査で異常が指摘されていることもあります。網膜出血や白斑が指摘された場合は内科的治療と共に眼科的経過観察や治療が必要になります。
眼の健康維持のために異常を指摘された場合は眼科を受診してください。健康診断ではみつけられない眼の病気もたくさんありますので、定期的な眼科での検査もおすすめです。
(2019.09.26)