とやま整形外科クリニック 外山 秀樹
整形外科の日常診療でよく遭遇する疾患として痛風があります。母趾のつけ根の関節が赤く腫れ激痛のため、足をひきずるようになります。
痛風の語源は、腫れている部位に風が吹きつけるだけでも痛い、痛みの悪風に中(あた)るからきているとされています。古くからある病気で、レオナルド・ダ・ヴィンチやニュートンも、痛風であったといわれています。
痛くなる部位について
母趾のつけ根の関節周囲が腫れて痛むことが多いですが、そのほか足首、アキレス腱周囲、膝、肘にも起こります。
先日、手首が痛いという患者さんが受診されました。診察すると手首はあまり腫れていなく、レントゲン写真にも異常なく、湿布を処方し経過をみてもらいました。ところが、後日、同じ患者さんが、痛みは一時的によくなったが、また痛みが出てきたと再度受診されました。「痛風ではないか」と患者さんに言われて血液検査をしたところ、尿酸値が高く痛風であったという経験をしました。患者さんに教えられた例でした。
痛風と脱水
アルコールとくにビールやプリン体を多く含む肉類などを多く摂取することで、血液中の尿酸値が上がり、尿酸が関節やその周囲に沈着し、そこに急性炎症が起こることが痛風発作の原因です。また夏場には、マラソンや球技や、炎天下での作業などで大量の汗をかき、夕食時にゴクリゴクリ飲むビールは、大変おいしいですね。ですが、アルコールによる利尿作用も加わり、翌朝起きると足が腫れて医療機関を受診することになります。脱水時は急激な尿酸値の上昇を避ける意味でも、まずは水分補給が大切です。
最後に痛風の発作が出た場合、まず鎮痛剤を服用し痛みが軽減してから、尿酸を下げる薬を服用するのが望ましい治療です。また、尿酸治療薬を服用した場合、症状が改善してからも内服を続けることが大切です。血液中の尿酸値を正常に保つ必要があるからです。
(2021.01.26)