発達クリニックぱすてる
和田 有子
できる事とできない事の差が大きく(発達の凸凹があり)、怒りん坊(癇癪持ち)、忘れん坊(不注意)、甘えん坊(依存が強い)などで、本人または周囲が困っている時、相談できるのが発達外来です。発達の凸凹の度が過ぎて困る場合、神経発達症(発達障害)と呼ばれることもありますが、その診断名が重要なのではなく、「何が困っているか」を分析して「どうすれば困らなくなるか」を共に考えていくのが発達外来の大切な役割です。
例えば、人は「きっちりさん*1」か「ざっくりさん*2」のどちらかであり、同じ出来事でも「きっちりさん」と「ざっくりさん」では、受け止め方、見える景色が全く異なります。困る内容(注釈1、2参照)もそれぞれ異なりますし、手助けする方向も違います。「性格」という表現もありますが、脳の使い方のクセ(特性)であり、場面によって、良い面(できる事・得意)にも悪い面(できない事・苦手)にもなります。「嫌な性格」と思っていたことも、脳のクセによる凸凹と考えると、「仕方ないね、だってきっちりさん(ざっくりさん)だもの」と思えるかもしれません。見方を変えるだけでも、困り感が減ることも多いのです。近視なら眼鏡を掛ける、遠方なら車を使うように、凸凹で困ったらできる手助けは何か。皆が、それぞれの凸凹を知り、認め合い、助け合うことで困らなくなり、できる事も増える。それが発達外来で私たちが患者さんやその周辺の人たちと共に目指す医療です。
*1「きっちりさん」;きっちりしたい、させたい、失敗しないようにネガティブ思考、石橋を叩いて渡る慎重派。真面目、怖がりで神経質、こだわり屋、怒りん坊、マイペース、人の気持ちを読むことが苦手、想像して不安を打ち消す(大丈夫と思う)ことが苦手、0か100かの考え方(ねばならない)が強い。
*2「ざっくりさん」;まず動き出して、失敗しても叱られても、修正しながら進めば大丈夫とポジティブ思考の行動派。まあいいやが得意、大雑把、やらかし屋、多動、不注意、喜怒哀楽が激しい、頭の整理(情報の取捨選択)が苦手、やりたいこと優先、行動コントロールが苦手。
(2022.04.26)