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傷あとと上手につき合うために ─ 瘢痕とケロイドのちがい ─

やまもと形成外科クリニック
山本 光宏

けがや手術のあと、「この傷あと、ちゃんと治るのだろうか」と心配になることがあります。実は、同じように見えても傷あとにはいくつか種類があります。

皮膚が深く傷つくと、体は傷をふさぐために「コラーゲン」というたんぱく質を増やして修復します。こうしてできた傷あとを、医学的には瘢痕(はんこん)と呼びます。

このうち、傷の線に沿って赤く硬く、少し盛り上がったタイプが「肥厚性瘢痕」です。盛り上がりが、けがをした範囲の中だけにおさまっているのが特徴で、数年かけて少しずつやわらかくなり、色も白っぽく、平らな傷あとへ落ち着いていくことが多いです。

これに対してケロイドは、時間とともに赤く硬く盛り上がり、実際の傷の範囲をこえて外側へ広がり、大きくなっていくのが特徴です。切り傷や手術の傷だけでなく、にきびや虫さされ、ワクチン、ピアス穴など浅い傷から生じることもあります。胸や肩、上腕、あごのライン、耳たぶなどにできやすく、体質や家族歴も関係すると考えられています。

初めのうちは肥厚性瘢痕とケロイドを見分けるのは専門医でもむずかしいことがありますが、時間がたつにつれ、前者は落ち着き、後者はじわじわ広がるという違いがはっきりしてきます。

「前より赤く硬くなってきた」「かゆみや痛みが強い」「関節の近くで動かしにくい」といったときは、一人で様子を見すぎず、まずはかかりつけ医に相談してみてください。そのうえで、必要に応じて皮膚科や形成外科を紹介してもらい、専門の医師がテープ療法や軟膏、注射、圧迫、レーザー、手術などの中から、その方に合った方法を選んでいきます。

傷あとは、見た目だけでなく心の負担にもなります。「これくらいで受診していいのかな」と迷うときこそ、早めに相談していただければと思います。

(令和8年2月号)

(2026.02.26)

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