山﨑 洋大
(耳鼻咽喉科やまざきクリニック)
首にしこり(腫瘤)がある場合、何科を受診すればよいのか分からなかったという言葉をよく耳にします。実は首の腫れやしこりは耳鼻咽喉科の領域です。
首のしこりの多くはリンパ節の腫れであり、その他の原因として唾液腺や甲状腺の腫れ、先天的な嚢胞のこともあります。
リンパ節の腫れは①ウィルスや細菌による感染が原因のもの、②のどや歯の感染に対する反応、③悪性腫瘍(がんの転移や悪性リンパ腫)に分かれます。
①、②の場合は感染がおさまればしばらくすると正常な状態へ戻ります。③による首のしこりは、高齢者に多くみられますが、時折若い人にも認められ、油断は大敵です。多くは口やのどの癌の転移やリンパ節の悪性腫瘍です。
顎の下の唾液腺(顎下腺)、耳の下の唾液腺(耳下腺)の腫れは、唾液の成分でできた結石が詰まったり、腫瘍ができたりして腫れることがあります。
首の中央の腫れは甲状腺のことがあります。多くは甲状腺腫で良性のものですが、時折悪性のものが混在しています。
嚢胞は腫瘤の内部が液体で満たされているもので、通常は無害で特に治療の必要はありません。首の嚢胞の一部は先天的なもので、胎児期より存在しているものもあります。代表的なものには正中頸嚢胞、側頸嚢胞があります。
首のしこりで非常に硬く、動きの悪いしこり、新しくできたもの、徐々に大きくなるもの、高齢者で見られるものは注意が必要です。
いずれのしこりでも、数日以上続いている場合は最寄りの耳鼻咽喉科に受診し、診察を受けましょう。かぜやのどの痛みなど明らかな感染源がある場合は、すぐに検査が必要になることは稀ですが、悪性が疑われた場合は、病院の耳鼻咽喉科・頭頸部外科において画像検査や生体検査を行う必要があります。
(2018.06.25)