橋本耳鼻科クリニック
橋本 茂久
アレルギー性鼻炎は増加傾向にあり、日本人の25~40%はアレルギー性鼻炎に罹患しているといわれています。ハウスダスト・ホコリで症状が生じる通年性アレルギーや花粉など(主にスギ)で生じる季節性アレルギーがあります。もちろん両方の抗原に反応してしまう人もいます。
鼻症状で受診した患者さんには、その原因が感染(かぜ)かアレルギーかを鼻粘膜の診察や鼻汁(細胞の種類)検査で鑑別します。アレルギーが原因と診断したときは、次にどのような原因かを考えて(可能であれば血液検査も)、治療を行います。
治療は主に①薬剤治療、②外科治療、③免疫治療、になります。
① 症状や生活環境にあわせてお薬を選択します。眠気がほとんど出現しないもの、2種類の異なる作用を持つ配合剤、漢方薬、貼り薬もあります。点鼻薬は刺激が少ないもの、粉で液だれしないなどの選択肢もあります。特に重症な場合に選択する抗体薬(すでに喘息などで使用されています)も今年認可されました。これらは即効性もありますが、症状を緩和するお薬であり、アレルギーそのものをなくす作用はありません。
② 外科治療には外来で行うレーザー治療から、入院加療が必要な手術もあります。レーザーは痛みも少なく当院は中学生から施行していますが、効果は1~4年間程度です。症状が重症な場合は、病院で全身麻酔下に行う手術治療が効果が高いと考えられます。
③ 最近は年齢制限がなくなった舌下免疫治療(現在はスギとハウスダストに対してのみ)があります。唯一治す治療(免疫寛容を誘導)で、3年間以上内服を継続します。全員が完治するわけではないことや終了後再感作する可能性も説明しますが、屋外での活動が多い(部活動)お子さんに行うことも増えてきました。当院では舌下投与ができる6歳以上で行っています。
アレルギー性鼻炎の治療は選択肢が増加し、本人や家族と何回も相談しながら治療を決めることが増えてきました。ぜひ近くの耳鼻科医と相談して、ご自身にあった治療法をみつけてください。
(2020.06.29)