桶谷耳鼻科クリニック 本間 悠介
補聴器は高い音が聞こえにくい、低い音が聞こえにくいなど、その人の聞こえの状況に合わせて、聞こえにくい音を聞こえやすく補助してくれる医療機器です。
補聴器を装用するメリットは沢山あります。聞こえを補助してくれる機能だけではありません。難聴と耳鳴りがある方では補聴器の装用を継続することで、耳鳴りの感じ方が和らぐことがあります。また、認知症の予防できる最大危険因子は「45歳から65歳の難聴」であると海外の有名な論文雑誌で報告されております。近年、認知症予防のための補聴器の役割も注目されており、地方自治体によっては補聴器購入に対して助成の対象としようという動きがあります。
では、補聴器はどういった流れで購入し、装用するのでしょうか? まず、最初にお近くの耳鼻咽喉科を受診します。そこで耳の診察を受けて治療で治るような難聴の原因がないか? また聴力検査でどの程度の聞こえの悪さなのか? などを評価します。その結果、補聴器が有効であると判断されたら、「認定補聴器専門店」の「認定補聴器技能者」に相談します。
相談したらすぐに補聴器を購入するのではなく、まずは貸出してもらいましょう。実際の日常生活の中で試してみて、ご自身で効果を感じるようであれば購入します。補聴器を試した結果を再度耳鼻咽喉科医に相談して購入するか判断すれば間違いありません。
補聴器は価格が高いという印象をお持ちの方も多いかと思います。実際の価格は1台10万円弱のものから50万円を超えるものまで幅広くあります。高価なものであればあるほどよく聞こえるという訳ではありません。低価格のものでも十分な機能を備えており、10万円前後から15万円程度のもので十分です。状況にもよりますが、耳鼻咽喉科医の診断により購入の際に補助を受けられる場合もあります。
難聴で困っている方、補聴器の使用を考えたい方は、まずは耳鼻咽喉科を受診しお気軽にご相談ください。
(2021.06.24)