上所歯科耳鼻科
上田 裕子
長引く痰や痰がらみの咳がある方、上の歯の違和感、痛みが続きなかなか治らない方はいませんか?鼻の病気、副鼻腔炎かもしれません。
濃い鼻が出る(膿性鼻汁)、鼻がつまる、鼻がのどに下がる(後鼻漏)場合、鼻の病気を疑って耳鼻いんこう科を受診される方は多いかと思いますが、痰が出る、痰がらみの咳が続く、上の歯の違和感や痛みが続く場合も副鼻腔炎が原因となっていることがあります。
副鼻腔とは、鼻の周囲にある空洞で、もともと鼻腔内と繋がっており、風邪などを契機に炎症を起こします。特にアレルギー性鼻炎がある方は鼻の環境が悪いため炎症の重症化・遷延に注意が必要で、風邪を引くたびに膿性鼻汁や後鼻漏が長引く方は、蓄膿症(慢性副鼻腔炎)を起こしているかもしれません。慢性副鼻腔炎になると副鼻腔内に膿が溜まり、溜まった膿が少しずつ出て、のどに下がるため長引く痰や咳の原因になることがあります。
副鼻腔の一つである上顎洞は頬の裏側にあり、上の歯の根と接しています。そのため歯根に炎症があるとその炎症が上顎洞に広がり、副鼻腔炎(歯性上顎洞炎)を起こすことがあります。歯根の炎症は新たに起こることもありますが、治療をしたことのある歯根に再び起こっていることが多く、上の歯の違和感や周囲の痛みとして現れ、鼻の症状がない事もあります。歯科と耳鼻科の境界領域疾患であるため見逃されやすく、症状が長引く原因となります。治療には歯科との連携が必須となり、並行して治療を行います。
長引く痰や痰がらみの咳がある時、上の歯に違和感や痛みが続く場合は耳鼻いんこう科を受診し、内視鏡を使い鼻からのどの状態を詳しく診察し、必要に応じて画像の検査を行うことで副鼻腔炎がないか、歯根に炎症がないかなどを確認することをお勧めします。
(2024.06.26)