阿部 裕樹
(新潟市民病院 小児科)
皆さんは生活習慣病を“大人の病気”と考えていませんか?以前は成人病と呼ばれていましたが、子どもの頃からの生活習慣によって予防したり、発症の時期を遅らせたりすることが可能ということから、呼び方が変わりました。生活習慣病の原因として、内臓脂肪型の肥満は要注意です。3歳頃までの、軽くて進行しない肥満は様子をみてよい場合が多いのですが、進行性の、あるいは4−5歳以上での肥満は成人期まで続いていくことが多くなるので、介入が必要になります。成長期には身長が伸びますから、体重を減らさなくても、増えが緩やかになるように生活リズムを整えると、肥満が解消しやすくなります。まだ身長がたくさん伸びる時期に介入を始めた方が、効果が上がりやすいのです。
三度のご飯をバランスよく食べ、間食を減らす、体を動かすなどの生活改善が有効です。決して一時的なものにせず、習慣づけることが大切です。“ダイエット”ではなく、病気になりにくい生活習慣に変えてゆくことが目標です。こうした取り組みを成功させるにはコツがあります。それは毎日体重を量って、グラフに記録することです。例えば“間食を減らす”という目標を立てた場合に、これを実行すると“体重が増えにくくなる”ということを、お子さんに目に見える形で体験させてあげることで、やる気が出ます。褒めたり励ましてあげたりすることも、こうした行動を強化させます。また、目標を“少し頑張れば達成できる”ように設定することもコツです。毎日摂っていた間食をいきなり完全に無くしてしまうのは、ストレスが大きくうまくいきません。まず一日おきにしてみる。この目標が達成できて習慣化したら、次は二日おきにしてみるというように、達成しやすい目標を積み重ねて、最終目標に近づけます。ゆっくりと、少しずつ生活習慣を良い方向へ変えてゆきましょう。肥満を解消することは、生活習慣病の予防に大切です。早くから家庭で取り組みましょう。
(2018.07.27)