みらいクリニック南笹口
佐藤 英利
新潟市では現在4か月健診、10か月健診が公費で行われております。その間にも予防接種や訪問の機会にさまざまなサポートを受けることはできますが、特に初めてのお子さんの場合何から聞いていいのやらといったことも多いかと思います。
赤ちゃんは0歳から1歳までの間に、身長は約1.5倍、体重は約3倍にもなり、原始反射が消失していくとともにいろいろな機能を獲得していくという劇的な変化が起こっていきます。感動を覚えるほど変化に富んで面白い時期なのですが、不安が先だって十分に子育てを楽しめないのであればあまりにももったいないと思います。
そこで今日は赤ちゃんの家族としてのスタートのほんのさわりの部分を紹介したいと思います。
産院から自宅に戻ってしばらくは赤ちゃんの1日はまだ24時間ではありません。大人は赤ちゃんに付き合って休める時に休むようにする必要があります。おうちの中になかった赤ちゃんの泣き声は、まるでアラームが鳴っているかのように大人を焦らせてしまうこともあるでしょう。しかし、この時期は首とおしりを支えてお腹の中にいた時のように軽く丸めて抱いてあげると、軽く揺するだけで泣き止んでくれます。赤ちゃんは自分の体の位置感覚が定まらないので安定を感じると泣き止みます。幸いにもまだ体重も軽いのでこの時期にたくさん抱っこしてあげてよいでしょう。
2か月を過ぎると吸啜反射(勝手に吸う)が消失してきます。口を離すようになるので、飲む量が減ったと感じたり、授乳を拒否されている気分になる方もいます。飲みたい時に飲ませると言いますが、いつ飲みたいのかなどわかる訳はありません。お母さんのおっぱいが張ってきてのタイミングでもいいでしょうし、ミルクの場合は大体の時間を合わせてもよいでしょう。
2か月の頃、お風呂を一緒に入るようになります。入浴の目的は皮膚の清潔を保つことです。普通、赤ちゃんは清潔な環境に置かれていることが多いですから、さらっと流すだけでしっかり温める必要はありません。皮脂が多い時期ですが、皮脂は乾燥を防ぎ、皮膚のバリアになります。皮膚のかさつきを気にして受診されるのもこの時期が多いかもしれません。
3か月になると手の把握反射が消失し、自分の意思でいろいろと触ろうとします。出っ張ったところが大好きで、爪も薄いので耳や鼻の周りに引っかき傷が増えてきます。
また、このころ昼と夜の区別がつくようになってきます。赤ちゃん中心の時間割から家族の時間割になってきます。時間をより大切にする現代では、子育てのために時間を作ることを考えてしまうのかもしれませんが、家族として時間を共有する感覚で十分と考えます。ちょうどそれぞれの家族の普通、基本が作られていく、スタート地点になるのではないでしょうか。首も座ってくると、抱っこしてあげてる、だけでなく、抱っこしてもらってる感覚も芽生えてきます。抱き合っている感じはいいですよね。
今回はほんのさわりだけですが、健診は体重を測って評価するだけのものではありません。病的なものに関しては、話に触れなくても健診の時間の中で診ています。この話は続きがたくさんあります。親御さんご自身で調べてみるのも悪くはないですが、かかりつけの小児科医にいろいろ聞いてみてはいかがでしょうか。
(2024.04.24)