
末広橋病院
橘 輝
強迫症という病気をご存知でしょうか?手洗いがやめられない等、「やめたくてもやめられない行動」が特徴の精神疾患です。
潔癖症と何が違うのでしょう?潔癖症の人は、手洗いや入浴などの洗浄行為をして自分の体が綺麗になったと感じれば満足して洗浄行為を終えることができます。一方、強迫症では、「バイ菌が残っていて自分や家族が病気になるのではないか?」などと考えてしまい、どれだけやっても洗浄行為をやめられない状態になってしまうのです。
強迫症には、上記のような『不潔・洗浄強迫』の他にも様々なタイプがあります。たとえば、「鍵がきちんとかかっていないのではないか」という心配から繰り返し戸締まりの確認をする『確認強迫』、「不吉なことを考えると悪いことが起こるのではないか」という心配から頭の中でお祈りなどを繰り返す『縁起強迫』などです。
同じ行動を一日の中で5時間も6時間も繰り返したり、外出できなくなったりして日常生活に大きな支障をきたすと医療機関への受診につながりますが、軽症の場合は病気と認識されず放置される場合も多いです。
強迫症の治療では薬物療法と「認知行動療法」と呼ばれる精神療法が効果的です。薬を飲むだけで良くなる人もいますが、薬をやめると再発することも稀ではありません。認知行動療法では、「汚れていると感じる場所にあえて触り、汚れたと感じても手を洗ったりせずに我慢する」、あるいは「『鍵が締まっていないかもしれない』と心の中で唱えつつ、そのまま家を離れる」など、あえて不安を引き起こすような課題に挑戦します。苦痛を伴う治療ですが、いったん良くなると自分で再発を予防できるようになるという利点もあります。
重症化するほど治りにくい病気です。もしもこのような症状でお困りの方がいらっしゃれば、早めに心療内科や精神科に相談してみてはいかがでしょうか?
(令和8年2月号)
(2026.02.26)