石崎医院
石崎 悦郎
南区の田んぼのド真ん中で外科の町医者なんぞをしておりますといろんなケガの患者さんが来られます。皆さん「血がいっぺこと出たてば!」とか「化膿でもしょーもんなら大変らねっかね!」などと言いながら来られることが多いです。大半はスリ傷とか小さい切り傷などの軽いケガなのですが、そこに患者さんなりの応急処置(のようなもの?)をされて来られることもありますが、ちょっとなあ?と思わされることがよくあります。そのあたり、とくに消毒について私なりにお話ししてみようかと思います。
まずやっていただきたいことはこのような軽いケガのようであれば、消毒よりもキズを水道水で洗っていただきたいと思います。洗うとキズがしみたり少し血が出ておっかないでしょうが、普段見るケガでは出血量は微々たるもんです。慌てる必要は全くありません。洗うことで砂や泥、ゴミのようなもの、そんな異物を十分に取り除くことが重要です。最悪なのは消毒のような?ことをして異物はそのままにしてキズに被覆材(最近はいろいろなものがありますが)を当てて2,3日放置することでしょうか。そうすると異物が原因でキズに化膿が起こり、さらに痛みが出て慌てて受診したころには、被覆材を取るとウミがじゃあー、と流れ出ます。このように普段よく目にするケガでは消毒より洗うことが大事であることをまずご理解下さい。極端に言ってしまえばスリ傷とか小さい切り傷などの軽いケガの場合、きれいに洗ってありさえすれば消毒は全く必要がない、ということです。以前はアロエとかマムシ酒で消毒しました、なんて患者さんもおられましたが最近はさすがに見なくなりました。
他にもいろいろなケガがあり、まだ言い足りないことが多々ありますが、今回は誌面の関係でこのくらいにしたいと思います。
(2023.08.28)